求めよ、さらば

 少年は青緑色の瞳を見開いた。
「僕は」
 一体どうしたいのだろう。

 神の代行者として暮らすはずだった。今までも、これからも、そして与えられた力を使い果たすその時まで。それが一生だと思っていた。
 目覚めた時には、その場が与えられていた。
 何時までもそこにいるのだと思っていた。
「求めろ」
 だと言うのに、彼はもう一つの世界を見せてくれる。
 自分が真に渇望していた、居場所のある世界を。
「それならば、オレはお前のために世界の門戸を開こう」
 与えられる現状に甘えるのではなく、自らの手で、掴み取るものを選べと。
 そんな生き方が自分に許されているとは思っていなかった。
 開かれた扉。それが閉ざされている間はなにも考えなくて良かったのだから。
「……僕は──」

 選ぶのは、自分。
 それはなんと甘美で、なんと覚悟が必要なことなのだろう。

 彼は微笑んだ。
「世界の意思と共にあらんことを」
 そう、耳に囁いて。