お願いと頼み事と約束

「フォウル様、今回はお出掛け長かったですよ」
「そうだな。ちょっとアクシデントに遭ったからさぁ……」
「ええっ? 怪我でもされました? 大丈夫ですか?」
「もう全部終わったから平気だけどよ、ちょっとの間、力が使えなかったりしてさ」
「そんな! 無事だったから良かったですが、お一人で――もう、危険な事、しないで下さい」
「……刹」
「我が侭言ってるのは分かってます。でもせめて、心配させて下さい」
「お前がしてくれるのは、心配だけじゃないだろ?」
「え?」
「お前はオレが帰ってくる場所を守っててくれるだろ? お前が待ってると思うからこそ、オレは帰ってこれるんだよ」
「フォウル様……」
「約束はするさ、お前に心配かけさせないくらい、程々にやるってな。だから、お前もオレのこと必ず待っててくれよ」
「当たり前です! フォウル様しか、待ちませんからね!」
「うん」
「フォウル様、おれがいないと帰る所を忘れちゃいますもんね」
「うん」
「おれの居る所に、帰って来るんですよね」
「うん」
「……じゃあ、独りでも平気です。フォウル様に、必要とされてるなら」
「うん──ついでに洗濯と掃除と風呂と食事の準備としててくれると最高だな」
「フォウル様っ!」