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独白 それぞれの・ロニ

 運命なんてのは言いたくねェんだが、そうなのかも知れねェな。
 俺のちっこい弟分だったカイルが、今や世界の命運を握る男になっちまった。
 そう、あいつの親父のスタンさんと同じように。

 ああ、俺が何回心ン中で詫びたことか、あいつは知らねぇんだ。
 スタンさんによく似たあいつが笑うたんびに、俺が罪を感じていたなんてな。

 実はほっとしてたんだ。アタモニ神団に入って、あいつと会わなくなってから、よ。
 これでもう、あいつを騙さないで済む──なんて自分を納得させてたが、なんてこたぁない、俺は、あいつにスタンさんの面影を感じて、自分が責められているような思いをする、その事から逃げてたんだ。
 でもよ、途中で気が付いてなぁ……。
 自分の名前に恥じたよ。
 ロニ=デュナミス、なんて名乗れるのかってな。

 だから俺は帰った。カイルやルーティさんや、デュナミス孤児院の連中の待つあの町に。

 俺の命はスタンさんの命だ。
 それをカイルやルーティさんの為に使うのが、俺のやるべきことだ。
 償い? へっ、止めろよ。
 俺は懐かしかったんだぜ? あのカイルがますますでかくなって、スタンさんに似てきて……そのことが。
 懐かしかったんだ。

 あいつを守りたいってのは、俺の気持ちだよ。