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独白 それぞれの・リアラ

 ねぇカイル、わたしはまだ笑えてるかな。

 怖くないのかって聞いてくれたよね。
 怖いよ。
 怖くて怖くて溜まらない。
 これから起こる事を考え始めたら、前に進めなくなる。
 笑顔ももう限界。

 でも、そうしたらあなたが立ち止まってしまうから。

 わたしの前を進むあなたは、時々わたしを振り返る。
 わたしが笑うと、あなたは安心してまた前を向いてくれる。
 だったら、わたしは笑い続けるわ。
 どんなに怖くても、笑うの。

 ねぇカイル、わたしはこんなところで終わりたくないよ。
 私の役目はまだ終わってない。
 今を生きている人々の幸せのために、わたしは戦うわ。
 そのためにわたしはいるんだもの。
 進まなくちゃいけない。

 信じてるわ、カイル。私の英雄。
 ありがとう。
 あなたがわたしを導いてくれる。

 見慣れたあなたの後ろ姿。
 首が曲げられて、さっきまで前を見つめていた顔がわたしを振り返る。
 大丈夫よカイル。わたしは笑っているわ。

「行こう」
「ええ!」

 さあ、いきましょうカイル。運命を解き放つために。