天の響

4000年前勇者御一行10のお題

希望

 人間と共に歩むことは出来ないと、背を向けて去って行ったハーフエルフたちの姿が小さくなる。
「良いのか」
 聞いておきながら、答えに何の意味があるのかと騎士は自問した。彼の理想を思えば決して肯定出来ない筈だが、今更否定も出来ないだろう。
「良いんです」
 ゆえに少年は頷いた。
「わかってくれる人は、きっといます」
 今は未だその時ではないだけだと。
「あなたみたいに」
 希望の芽は、小さくとも確かにここにあるのだから。

2003/11/30 初出