その時――大樹が自分たちの未来を開いたこと、自分たちの理想にその最後の力を賭けたのだと、彼らは知った。 その生命と引き替えに実を残して。 複雑な感慨がユアンを襲った。それはかつてこの樹を故郷への思慕として残したエルフの血がなせる、哀惜の念だったのだろうか。 だが、大樹はそれでも天に差し伸べた腕を下ろすことがなかった。