天の響

ユアン好きに10のお題

クルシス

「クルシス?」
 その不思議な響きの単語にユアンは首を捻った。予想していたような古代エルフ語でも何でもない。
 疑念に対し、ミトスは子供らしい薄い胸を張って応えた。
「クラトスのク、姉さまのル、倖せのシ、最後に僕のミトスでス。完璧でしょ!」
 素敵な名前ねと華やいだ声が後押しして、一瞬ユアンもそれに頷きかけたが──
「……私が入っていないぞ!」
「と言うより、そんなセンスで良いのか」
 ハーフエルフ達の一風変わったネーミングセンスに、人間の変わり者が項垂れた。

2004/02/16 初出