もう一度、白い指先が薬指の付け根を撫でた。確かめるように、静かに。やがて薔薇色の喜びが微かに上る。 細い銀の輪と、色の薄い玉。そこに宿るのは自ら強く主張する光ではないけれど、姉と言う恒星を飾り立てるのに、良く合っている。 輝くその石の美しさにほんの少しだけミトスは嫉妬して、爪先で地面を突いた。 もっとも彼女の心を捉えているのがそんな無機物でない事は、百も承知だったのだけれど。