天の響

ゼロスファンに30のお題

運命

「僕は優しいからね」
 支配者は笑みを浮かべた。
 しかしそれは石像の女神と同じ、ただ美しい顔でしかない。生身の女達のような媚びはなく、可愛らしくもなく、欲望もなく、慈愛もない。
「忠誠か、死か」
 そして支配者は、ゼロスの前に真っ直ぐ敷かれた道を二つに割ってみせた。
「選ばせてやるよ、お前自身に」
 ――抗えぬ運命だと思えば、肯定出来たのに。

2005/03/22 初出