彼女の騎士があっと声を上げた時にはもう遅かった。ゼロスは咄嗟に、金の髪の少女に手を伸ばす。姿勢を崩した少女は、それに縋ろうと腕を伸ばす。 当然の帰結として、指先が触れた。 「――!」 心が震え、息が詰まる。出会うはずがないもう一つの血族との邂逅。仕組と秩序を揺るがす有り得ぬ接触。 世界が終わるかと思った。