天の響

ゼロスファンに30のお題

とりまき

 尊き天使の子を取り巻く貴婦人達は、彩とりどりのドレスを身にまとい、移り気な蝶を誘う。
 蝶は花を両手に溢れるほど抱え、己の身を装う。
 それは生きた鎧である。
 女の陰に隠れて、生き延びる──。
 それが、生まれ出でた時から背負う己の業なのだと、捕食者の眼をした蝶は薄く嗤った。

2008/07/26 初出