尊き天使の子を取り巻く貴婦人達は、彩とりどりのドレスを身にまとい、移り気な蝶を誘う。 蝶は花を両手に溢れるほど抱え、己の身を装う。 それは生きた鎧である。 女の陰に隠れて、生き延びる──。 それが、生まれ出でた時から背負う己の業なのだと、捕食者の眼をした蝶は薄く嗤った。