前の国王は、その私生児に地上の栄華を与えてやれぬ代償として、己が及ぼせる最大の影響を払い、彼を教皇の座に据えたと言う。 それはマーテル教会の中で、人の身が務める事の出来る極みである。 しかし逆に言えば、天使とその血族を主とする教会の中に在る限り、それより上はないと言う事実である。そこより更に天に近付こうとするほど、女神の意志は彼から遠離る。 どんなに、どんなに、どんなに足掻いても。 恨まれていることと、物事の通りは、天使の子が同時に理解した事象であった。