──海へ行こう。 仰向けに倒れ天を見上げた瞬間、宙を舞うような浮遊感が彼の意識を解き放った。 少女があの監獄を出たら、その時には二人、どこへでも縛られる事なく飛んで行けるはずだ。 海へ、山へ、野原へ。四角い窓から眺めるだけだった海に触れ、澄んだ山間に響く小鳥の囀りを聞き、少女に似合いの薄紅の花をその髪に挿してやろう。 そして告げるのだ。お前は自由だと! その未来を夢見て、ゼロスは瞳を閉じた。