油断した。
一瞬にしてゼロスの内は深い悔悟の念に満たされた。 人が裏切る生き物だと知っていたのに。故に他人の好意は笑顔の裏で打ち捨て、欺瞞で自身を鎧い、道化の仮面で渡り歩いていたというのに。 「――ゼロス!」 ロイドが目を見開いて、必死に名を呼んでいる。 馬鹿、お前を庇うつもりなんて欠片も無かったよ。ただ――
己が自身を裏切った。