天の響

ゼロスファンに30のお題

 爪先で突けば、それは野に転がった。
 冷たく暗く愛しい地中に在れば、こんな結果にはならなかっただろうに、何故彼は太陽を目指したりしたのだろう。
「太陽に当たると死んじまうんだろ?」
 覗き込んだロイドがそう言ったことに、衰退世界の学識レベルへ思いを馳せ、ゼロスは笑った。
 彼を殺すのは太陽の光でない。
「モグラは太陽が嫌いなわけじゃねーんだよ、ロイドくん」
 むしろ好きなのかも知れない。そうだ、焦がれてすらいる。
 だが──
「光だけじゃ生きられないのさ」

2005/03/11 初出