天の響

ゼロスファンに30のお題

天使

 独創性の欠片もない彼の忠告に、ゼロスは喉の奥で笑った。
「御生憎。俺さま、天使の子供なのよ」
 それは羨まれるに値せぬ、傀儡の称号である。女神へ行き着く遺伝子情報を詰め込んだ、神子と言う名の器。隠せない自嘲の色が揶揄に聞こえる事を願い、口の端を持ち上げる。
 天使は感情のない紅い瞳でゼロスを見下ろし、独り言のように呟いた。
「お前は人間だ」

2007/08/19 初出