神さまは、奇蹟なんて起こしてくれない。 「うん、そだね」 背後で肯く気配があった。少女特有の高い音が耳を擽る。 言葉はそこで途切れ、そのまま風がすべてを押し流すかと思われた。だが―― 「でもね、ゼロス」 ただ沈黙のままにある背に向けて、天に近しい少女は言った。 「信仰は奇蹟を起こすよ」 ならば、自分の下に奇蹟が顕れることは決してない。