馬鹿馬鹿しい世迷い言、子供の妄想と嘲笑い、けれど断ち切り難かった、ロイドの語る希望。決して選ばないはずの不利な勝負に、すべてを賭けた。妹のためならばクルシスに従っていた筈だ。だが、最後は自分一人の心に従って夢を追っていた。
そのとき、ゼロスの世界は反転する。
初めてゼロスは喜んだ。感謝した。
己が神子であること、産まれてきたこと、そのすべてに。
四千年分たれたテセアラとシルヴァラントが統合されれば、必ず混乱は起きる。エクスフィアのない世界を実現しようというなら、少年少女の熱意だけでは足りない。
そんなとき、あの疎ましかった地位は、人民を宥めるのにどれほど役立つだろう。苦い経験から得た大人の猾さは、彼らの障害をどれほど取り除いてやれるだろう。
そうして、ゼロスはゼロスの決心によって救われた。