天の響

ゼロスファンに30のお題

決心

 馬鹿馬鹿しい世迷い言、子供の妄想と嘲笑い、けれど断ち切り難かった、ロイドの語る希望。決して選ばないはずの不利な勝負に、すべてを賭けた。妹のためならばクルシスに従っていた筈だ。だが、最後は自分一人の心に従って夢を追っていた。
 そのとき、ゼロスの世界は反転する。
 初めてゼロスは喜んだ。感謝した。
 己が神子であること、産まれてきたこと、そのすべてに。
 四千年分たれたテセアラとシルヴァラントが統合されれば、必ず混乱は起きる。エクスフィアのない世界を実現しようというなら、少年少女の熱意だけでは足りない。
 そんなとき、あの疎ましかった地位は、人民を宥めるのにどれほど役立つだろう。苦い経験から得た大人の猾さは、彼らの障害をどれほど取り除いてやれるだろう。

 そうして、ゼロスはゼロスの決心によって救われた。

2016/01/03 初出