青山劇場にて、「SAMURAI7」18時回(プレビュー公演)を観劇。
http://www.nelke.co.jp/stage/samurai_7-2012/
「SAMURAI7」は、黒澤明監督の「七人の侍」を原作とするSFアニメ。アニメは最初の2話を観た程度で、原作未見。本作は2010年にも舞台化されていて、興味はあったのですが都合が合いませんでした。その為、今回の再々演が初見です。
全体的には面白かったです。
全26話のアニメを2時間半に全部収めているので、かなりの超特急ダイジェスト版。思ったよりギャグが多くて、どこから脚本通りでどこからアドリブなのか分かりませんでした。「中の人」ネタが結構目立ったので、原作ファンより役者ファン向けの舞台ですかね。
演出面は、殺陣メインの作品として劇団☆新感線を意識してるような印象。やや冗長な下ネタがあるところまで似てます。観ている側が勝手に感じているのかも知れませんけれどね。
青山劇場の舞台機構を大いに生かしたダイナミックな動きがあり、セリ・盆好きとしては大満足しました。
また、「客席参加型」ということで、掛け声などを入れるシーンもあって、ちょっと気恥ずかしい感じもありましたが、客席もホットに盛り上がって面白かったです。ただ、2幕のウキョウの台詞に黄色い声援を送る箇所は、タイミングが難しかったですね。
本日はプレビューですが、役者の入れ替わりや少ない稽古日数等マイナス要素が多々ある中、スピード感のある殺陣を見せてくれました。
全体通して、敵役であるウキョウ@中川晃教の孤独が哀れに感じられました。
舞台版ウキョウは最初「キモ可愛い」感じで攻めて来て、次第に中川晃教らしい狂気の天才という雰囲気を感じました。とにかく登場すると舞台をウキョウワールドに変えてしまうので眼が離せず、結局2幕はウキョウ視点でお話を追ってしまいました。
ウキョウの悲劇は、キララを「侍を探しにきた巫女」として認識し、自分を理解してくれるかも知れないと勘違いしたことにあると思います。実際のキララは、ただ村人から頼まれて侍を捜しにきただけで、自分の意志で革命を始めたどころか、その覚悟もなく皆の足を引っ張っていたのに。
そんなわけで、ウキョウ派からするとキララとの最後の台詞も含めて消化不良な展開でした。
ただ、ウキョウが突然強くなったりせず、非戦闘員らしくあっさり死んでいったのは良かったです。
以下、その他のキャスト語り。
カツシロウ@馬場徹は、私としては長身で大人っぽい容姿と成長過程の若侍が少し噛み合ない感じでした。もう少し若手のキャストでも良かったかも。
キュウゾウ@中河内雅貴は、こちらも観る前はイメージでない気がしていたのですが、観たら納得のハマり具合でした。
ところで、キュウゾウが舞い、カツシロウが歌うシーンは唐突過ぎて思わず客席で吹き出したのですが、ファンサービスだったのでしょうか(笑)。
カンベエ@加藤雅也は、立ち姿が美しく、ビジュアル的には申し分ないカッコ良さ。声も渋いので、大黒柱の役所が違和感なく観られました。
ヘイハチ@市瀬秀和は、アニメのキャラデザが気に入っていたので、舞台でも再現されていて嬉しかったです。声が良くて、台詞が非常に聞き取り易かったです。
キクチヨ@住谷正樹は、アニメの「ロボット侍」のインパクトには欠けましたが、農民出身の土臭い温かさがある「おっちゃん」具合でした。
キララ@疋田英美は、元々アニメを数話観た段階で「このキャラは好きになれない」と思った通りの嫌な女だったので、役に引き摺られて点が辛いです。声がやや悪声だったのがマイナス。
余談ですが……
終幕後に抽選会がありました。下手から抽選箱が出て来たため、下手最前列の中川君がワクワクした様子で引きに行こうとしたところで「抽選くじを馬場さんに〜」と言われてしまい、「えっ? 僕じゃないの?」と言いたげなガッカリした表情でスゴスゴ退散していたのが非常に印象に残りました。