宝塚星組「ノバ・ボサ・ノバ/めぐり会いは再び」15:30VISA貸切回観劇。
役替わりは、オーロ@紅ゆずる、マール@夢乃聖夏、メール夫人@真風涼帆でした。
幕間の抽選会お手伝いは、ひめ乃礼絵。2幕の見所として、自分の出演シーンでなく、音楽をあげたのが印象的。
貸切アドリブは見当たりませんでした。お芝居がコメディ=アドリブ入れ放題だろうと思っていたので、正直なところ意外でした。
一幕がミュージカル・ショー「ノバ・ボサ・ノバ」。
1971年初演で、宝塚の傑作ショーと言われているショー作品です。「懐かしい」と涙して喜ぶ年配のファンの方もいらっしゃいました。
私は、1999年再演のビデオを観た事があるだけで、今回が初ノバです。しかも2009年「太王四神記 ver.II」以来の星組観劇。
正直な感想としては、「時代性」が色濃く出るショーの再演は15年以内が限界だろう、と思いました。
衣装や色彩、振り付けのセンスに肩を竦め、微妙な下品さに眉を顰め、同じ楽曲の歌い継ぎは退屈に感じました。柚希礼音ですら「クズ」には時間を持て余していたと思います。
「リピートするとサンバのリズムに気持ちが乗ってきて楽しい作品」との評を聞いた事があるのですが、1回しか観ない観客も楽しめる作品であって欲しいです。藤井大介先生の潤色に期待し過ぎたでしょうか……。
ただ、ラストの「シナーマン」はさすがに生で見ると凄い迫力。全体的に星組のエネルギーは熱いほど感じました。
ショーの役について一言ずつ。
ソール@柚希礼音は、とにかく技術的に難役ですね。そのわりに、物語の一番盛り上がるブリーザの死に関わらないので、なんだか印象が薄い気がします。この人はダンサーではあるけれど、ショースターではないのかも知れませんね。「アマールアマール」や「シナーマン」は凄く良かったです。
エストレーラ@夢咲ねねは、令嬢なのに奔放過ぎて驚きました。一言で言ってしまえば、エロ過ぎ。
オーロ@紅ゆずるは、華とハッタリしかありませんね!(笑)
マール@夢乃聖夏は、踊りの躍動感が素晴らしかったです。歌も上達していましたよね。たぶん、何事にも一生懸命な人なのだろうなぁと勝手に想像しました。
メール夫人@真風涼帆は、意外にも綺麗な小母さんでした。声が男で可笑しかったです。歌はもっと練習して欲しいけれど、役替わりでは難しいですね。
ブリーザ@白華れみは、野生的な色気、よろめき具合、殺され方と期待通りでした。このまま娘役の域を超える方向で芸を磨いて欲しいです。
ボールソ@美弥るりかがとにかく可愛かったです。女装がなかったのは残念でした。
物申したいのはシスター・マーマ@英真なおき。迫り方が下品過ぎて、やや不快でした。あの役は「見た目は微妙だけど中身は愛らしい」ことを狙っての女装キャストだと思います。
その相手のルーア神父@涼紫央は、可もなく不可もなくいつも通り。熱量の感じない人なので、やや傍観者寄りの神父役にはハマっていました。
二幕のロマンティック・ミュージカル「めぐり会いは再び」は、肩の凝らないラブ・コメディ。実は今回のお目当てはこちらでした。
筋はとても短く、オチも見え見え。でも尺が短かった御陰で無駄な展開はないし、幸せに終わるのが嬉しいです。原作を巧く広げて役者に宛書きしているのも良いですね。
ライトな女性ファン層が宝塚で観たい作品、としてイメージした雰囲気を展開したような感じ。
人を貶めて笑うコメディではないと言う点も、私は評価したいです。すべての求婚者たちが、最初の動機は不純だとしても、オレゴン家を訪れたことで以前より良い状態にステップアップするのが気持ち良いです。
ドラント@柚希は、ビジュアルで冒険をしていて最初は驚きましたが、格好よ過ぎず可愛さを狙い過ぎてもいない、良い感じでした。どのタイミングでシルヴィアに惚れたのか明確でないですが、実は「お嬢様には内緒で求婚者を見定めに」の下りだと思ってます。
シルヴィア@夢咲は台詞の声に違和感がありました。前からこんな言い回しでしたか? 媚びて聞こえる声音はキャラ的にNGかと。
マリオ@涼がツンデレ鬼畜でとにかく美味しい役。この人の義弟になるドラントはこれから苦労しそうです。
ブルギニョン@紅は、男役の経験値にはならない役だと思うけど、目立つし、可愛いし、ファンを増やしそうですね。コメディ部分を一番担っていて、紅ゆずるの正しい使い方を観た気がしました。
リュシドール団長@夢乃、アジス王子@美弥、エルモクラート@真風も芸風に合わせた役でいい味をだしていました。
ラルゴ伯爵夫人@万里柚美は美人だし所作も美しくて、貴族の説得力がありました。
フィナーレの入り方はちょっと疑問符。どこから芝居でどこからフィナーレなのか、曖昧にしたかったのかな。
階段での男役&娘役群舞は好みでした。特に群青ドレスの夢咲が、今日初のアップスタイルで登場したのが美しかったです。