TOHOシネマズ新宿にて、「北翔海莉ラストデイ」ライブ中継に参加。
これは、星組「桜華に舞え/ロマンス!!」東京宝塚劇場千秋楽、およびサヨナラショーを生中継したライブビューイングです。
泣かせてくるかと身構えていたのですが、綺麗さっぱり、明るい千秋楽でした。なんせ、客席へ残した最後の言葉が笑顔の「まったねー!」だったのですから、凄いです。
妃海風は泣きっぱなしでしたが、それも悲しいというより、諸々が昇華されて感極まったという感じでした。
また私の方も、かつて、自分の贔屓の退団は、身を斬られるような想いだったのですが、3か月前に同じ映画館で見送った龍真咲が、退団直後からSNSでハイテンションな姿を発信しているせいで、なんだか、受け取りかたが軽くなったかもしれません(苦笑)。
もっとも、先日の千葉日報にて下記の発言があったので、「舞台に戻ってくる」という信頼感がある点も大きいです。
応援してくださったファンのためにも舞台のエンターテイナーとして活動していきたい
http://www.chibanippo.co.jp/news/local/365668
近年、北翔海莉は宝塚や男役という型で収めるべきでないように感じていたので、退団後の活躍の方が楽しみかもしれません。
グランステージ「桜華に舞え -SAMURAI The FINAL-」
芝居のネックであるかごんま弁は、観劇2回目だからか、音響の違いなのか、前回より多少わかりやすく感じました。
桐野@北翔海莉が、西郷@美城れんと共に鹿児島へ帰郷することを決断する辺りから、瞳に涙が溢れていて、こちらも何度も揺さぶられました。
アドリブは控えめで、ウィリス医師が半次郎を迎えるのが大仰な程度でしたが、「明日はない」という全開の熱量が、スクリーン越しにも伝わってくるようでした。
なお、前回、芝居自体はよく出来ていると評しましたが、相手の台詞をおうむ返しするやりとりが多く、そこは一々気になりました。構成・斎藤先生、脚本・上田先生or正塚先生、演出・小池先生というハイブリッド演出家は、どうして生まれないのでしょう……。
ロマンチック・レビュー「ロマンス!!(Romance)」
「ロックンロール」のシーンにて、アフロで登場するアドリブに、月組DNAを感じました。個人的に、この黒アフロは通常公演用のリーゼントよりシーンに合って良かったと思います。
「友情」はもちろん良かったけれど、やはりこういう群舞メインのシーンは、生で観る方が感動しますね。
北翔海莉サヨナラショー
ショーの前には、組長から、真心が籠った優しいコメントと経歴紹介。
紹介映像に微妙なシーンが含まれていて、一々笑わされました。一番客席が沸いたのは花組「オーシャンズ11」の医師扮装かな。また、宙組時代の映像も多く、特に「カサブランカ」「シャングリラ」「トラファルガー」「銀ちゃんの恋」と続いた箇所は、大空&蘭寿&北翔トリオの時代への思い入れも相俟って、全部知っている映像なのに喰い入るように観てしまいました。
そしてサヨナラショーの開演。
今回は、セットリストを一切知らずに参加したため、少し驚かされました。
- 宝塚メドレー
初舞台ロケット曲から始まって「シトラスの風」「アマール・アマール」「桜夢幻」「君に伝えたいことがある」と一気に消化。そんな名曲メドレーの中に「風の次郎吉・演歌アレンジ」という異色感は笑えました。 - THE ENTERTAINER!から1曲
- 「My Heart Will Go On」(美城れんソロ)(英語)
上手いけれど謎の選曲だ!と思ったら「One Voice」で歌っていたようです。 - Love & Dream「夢はひそかに」(シーン再現)
- メリー・ウィドウ(ダニロの節のみ抜粋で「唇は語らずとも」等)
- こうもり「シャンパンの歌」
- 南太平洋から1曲(妃海風ソロ)
- ガイズ&ドールズ「女神よ今夜だけ」
- ガイズ&ドールズ「はじめての恋」
- ノートルダムの鐘「Someday」(英語)
- サウンド・オブ・ミュージック「すべての山に登れ」(英語)
これも大好きな曲だけれど何故?と思ったらビルボードライブで歌っていたとのこと。
最初から最後まで歌で構成されている上、文句の付け様がないほど耳に優しい30分でした。
ただ、ディナーショーやビルボードライブ等、レア公演からの選曲が多く、事前に調べておいた方が良かったな、と思いました。一度どこかの公演で歌っているとはいっても、全体的に、宝塚の枠からはみ出たサヨナラショーだったと思います。最後の衣装は緑の袴、ラストソングは「すみれの花咲く頃」という、最も正統派な選択だったのに、歌は妥協せず良曲を選んだ結果でしょうか。
また、英語曲が多いのも、個人的には気になりました。原語で歌いたいという気持ちもわかりますが、歌詞がわかる日本語の方が、素直に感動できたのではと思います。
挨拶は、全員用意した挨拶文ではなく、その場での素直な気持ちを述べている感じで、この辺は星組らしさなのかな、と思いました。ファンを第一とする姿勢も含めて、爽やかな印象でした。
本公演で全員退団する84期のお花渡しは、北翔海莉が隼颯希(元花組娘役)、美城れんが遠野あすか(元星組トップ娘役)。ちなみに、美城れんへの専科からのお花は、もちろん本公演に出演していた夏美ようでしたが、芝居しか出演していない為、私服でのお花渡しでした。お花渡しをする二人ともが私服、という姿は結構レアな気がします。
カーテンコール3回目では、次期トップコンビを呼んで挨拶。
月組に引き続き星組でも行われたことで、新しい伝統になりそうですね。アドリブに強いはずの紅ゆずるが動揺して、挙動不審になっていたのが面白かったです。
更に、カーテンコール6回目で銀鏡に出てきたトップコンビが、お互いへの感謝を口にする際、上級生の北翔が「ありがとうございました」と頭を下げたのが、彼女らしい良さだと思いました。
明るく清々しい千秋楽でしたが、中継に関しては、カメラワークに不満が残りました。誰もいない地点を映すという、カメラ切り替えミスもありましたし、全体的にアップが多く、せっかくの芝居が見えない箇所が気になりました。中継で初めてこの舞台を観る客もいるのですから、アングルはもう少し頑張って欲しいです。
恐らく、星組は番手が明確に定まっているために、それに従って撮っているんですよね。一方、前回ストレスなく観れた月組は、二番手以外をボカすために、引きの映像が多かったのかも。もちろん、単純に私が月組生徒の方が判別できるからとか、好きだという理由かもしれません。