• 2011年05月登録記事

シンフォニアから搭載された「あらすじ」機能。
レジェンディア以降は日記形式でキャラの心情を盛り込んでいるなど工夫がされていますが、シンフォニアの段階では、淡々とストーリーが記述されていく形式でした。
その中で、英雄ミトスに関する記載だけ雰囲気が違い、作中では描かれていないことが補足されていました。
具体的には、ミトスたちは「泥をすすり」生きてきた、と言うくだりがあったと記憶しています。
その一文から、大戦時代の空気とハーフエルフの人生と言う重さを感じました。

ゲーム中の世界では、衰退世界であっても物資はあるし、それなりの暮らしをしています。ハーフエルフであっても、人権問題はありますが、日々の生命の危機まではない印象です。
ミトスから見れば、そんな生温い世界で暮らして来た者たちに同情されたり非難されたりするのは、腹立たしいことだろうと思います。
「泥を啜ったこともないくせに!」
と言う台詞が浮かんで消えました。

もし、本当にその台詞をキャラクターたちに投げ掛けたらどうなるでしょう。
OVA版ロイド、コレット、ジーニアスであれば、自分がそこまで酷い暮らしをしていないので、衝撃を受けると思います。
プレセアは淡々と「はい、ありません」と答えるでしょう。
ゼロスは「ない。それが偉いのか?」と切り返しそうです。リフィルも同様だと思いますが、彼女は同じくらいの境遇に遭ってるかも知れないので、前後の言い回しは少し変わりそうです。
リーガルは社会保障とか話し出して、余計突っ込まれると思います(笑)。

さて、肝心のゲーム版ロイドがなんと答えるか、正直、想像がつきません。
「どこでもいいさ」と言った彼なら、私の思いも寄らない答えを返してくれそうです。

ハードのボス戦に勝てないのでレポート集めを断念し、アナザーデイをざっと遊んでみました。
……ミナミモトがゼタ可愛い(笑)。
お話はマブスラの対局が中心。本編中は今ひとつ遊び方が分からなかったのですが、スキルが使えるようになって、楽しみ方が分かってきました。滑りの良いステージは苦手ですが、前もってバッジを揃えておけば、一対一で負けることはありませんね。四人混戦になると運要素が絡んできますが、CPU同士が潰し合う事があるので、生き残り優先が吉でしょうか。

審判の部屋で本編ヨシュアと出逢ってしまいました。
死んだと思われたヨシュアは、平行世界で最後のゲームの最終日を待っていたと言うことなんですね。罪悪感の欠片もなさそうな様子を見ていると、どうも苦手意識を感じてしまいます。
全ボス連戦で初めて気付きましたが、ビートがパートナー状態で戦うボスが多いですね。ビート編は、気のせいでなく戦闘ばかりだったんだなぁ。
取り敢えずアイテム獲得目的でイージー撃破してしまいました。
レベル上げと、勇気向上でキャラ強化しないとノーマル以上は無理ですね。

装備品を着ける為に必要なステータスが「勇気」と言う点は、このゲームのセンスの良い所だと思います。
普段と違う衣装を身に着けるのって、確かに勇気が要りますよね。
ただ、勇気さえあれば男の子でもハイヒールやらミニスカを履いてしまうので、勇敢さも程々に……と思います。

 手掛かりを失い、ショーヴランは怒りに歯軋りしながら広間の着飾った貴族たちを見回した。
 若い男たちは馬鹿揃いで、動物を模した滑稽極まりない衣装に前時代的な帽子という出で立ちを誇っている。女たちは高慢な気取り屋で、噎せ返りそうな香りを振りまいている。
 その群の中心に目当ての人物が見え隠れしている。ショーヴランは、気が狂いそうな色と香りの洪水の中へ飛び込むと、必死に声を上げた。
「殿下、お願いが――」
 スカーレットピンパーネルに繋がる糸一本すら掴まぬまま帰国するわけにいかない。せめて、英国内の渡仏船を監視させる約定でも結ばねば、無能者と呼ばれる恥辱が待っている。
 だが、その声に気付いたのは別の男だった。振り返った顔に、ショーヴランは思わず舌打ちした。
「よし、みんな、全権大使殿も仲間に入れて差し上げよう!」
 男の恍けた声は、驚く程よく通った。その大声のまま、袖を引き耳打ちしてくる。
「殿下のご機嫌を取るにはゲームのお相手が一番だよ、シトワイヤン」
 私の番を譲って差し上げよう、と恩着せがましく語る伊達男の手を振り払い、けれど、そこに目当て――英国皇太子の輝く瞳を発見した。
「おお、パーシーの代わりにシトワイヤンが参加するのかね」
 反応は悪くない。
 更に、思ってもみない援護射撃が加えられた。
「如何です殿下。シトワイヤンが勝利されたらそのお願いとやらを聞いてあげるのは」
 道化の放言が内容も聞かず快諾されるに至り、ショーヴランは内心で歓声をあげた。
 そうとなれば、スカーレットピンパーネル一味の捕縛に留まらず、革命政府を公的に支持する条約でも獲得してやる。彼の功績は比類なくなり、あのいけ好かないベルギーの工作員も彼の実力を思い知るだろう。
 チェスか、カードか、遊戯など久しく触れてなかったが、覚えはある。貴族のお遊びに負けるつもりはない。
 そして、皇太子殿下は高らかに宣告した。
「では“落ちたら負けゲーム”をしよう!」
「――は?」


昨年の月組公演「スカーレットピンパーネル」観劇時に考えていたネタです。
宝塚ファンでないと通じない役者ネタオチであるため思い付きのまま放置していましたが、皇太子殿下を演じた桐生園加の退団にあたって「禊」として仕上げてみました。
次回月組観劇時に、もういないことを実感するんでしょうね……。

「小説文」を久し振りに書き、仕事で書く「実用文」の定石を大幅に外している事に改めて気付きました。
もともと私の作品は、展開でアッと言わせるものではなく、雰囲気を楽しんで頂く面が強いので、分かり易さは無視している時があります。今回は、独り善がりになり過ぎないよう、実用文との違いを意識して書いてみましたが、読み手の皆さんにとっては変化なかったでしょうか?

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年に数回「未プレイゲームのキャラを好きになる」と言う変な傾向があります。
と言う事で、最近お気に入りの未プレイゲームキャラ「ブレイズ・ユニオン」の黒騎士レオン……を前作「ユグドラ・ユニオン」の絵柄に似せて描いてみました。

描いている最中、「黒髪・短髪」「吊り目の三白眼」「ツンデレ気味なアホの子」は麻生的三種の神器だな、と思いました。
が、そのキーワードに続けて「妹がいる」「主人公のライバルポジション」「戦闘狂」「口が悪い」「額に傷などの特徴がある」と要素を並べて行くと、なんと「幽遊白書」の飛影に辿り着く事に気付きました。
飛影は、私が人生で初めてハマった漫画キャラです。
もしや「萌え属性」とは、初萌えのキャラをもう一度探し続ける業なのでしょうか……。

火坂雅志「虎の城」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
藤堂高虎は、生涯を捧げる主・秀長から築城を学び、後世に残る城造りに熱中する。しかし三成の謀略により主家を失い、豊臣政権の未来に危惧を抱いた高虎は、泰平の世のため豊臣を滅ぼす。戦いの終わりに、大坂城が消滅する様を見た高虎は、城もまた永遠の存在でないことを思い知る。

「侍大将の胸毛」(「軍師二人」収録)での高虎の貶され具合が面白かったため、高虎の生涯を描いた本作を読んでみました。
まず初っ端から、槍働きで名を馳せた武将だった、と言うことに吃驚。その後も、大変正統派な主人公ぶりでした。元々、主人公補正が強い作者だとの評判通りです。物語としてはこのくらい明確な方が痛快ですから、私は好きです。ただ、高虎小説としては、ゴマスリ処世術を見せてくれることを期待していたので、肩透かしだったかな(笑)。
三成は中盤のライバル役で、予想外に出番がありました。相当悪役ですが、当時の武断派から見た三成はこんな印象だったのでしょうね。ただ、このくらい冷酷非道で手段を選ばない三成だったら、もっと巧く立ち回っていた気がします。
オリジナルキャラクターで、高虎と三成に関与する綾羽と言う女性には、少し作劇の無理を感じました。育ての親は大工だけれど、山伏の子だからと吹き矢で戦ったり要所に登場するのは、無理があるよね。