• 2012年登録記事

五十音順キャラクター・ショートショート【け】
→ルールは2012年12月17日記事参照


 敬虔な信徒であるほど、差別意識は根深いらしい。
 教会の片隅で跪いた数分の間に、彼女の耳を見咎めた人々が顔をしかめたり慌てた様子で場所を変えて、周囲は不自然な空洞になっていた。
 一年前を考えれば、捕まえられたり追い出されないだけでも驚くべきことだ。
 ケイトはそう思い、際限なき己の欲を戒めた。
 世界の統合から時をおかず神子と教皇の共同宣言が行われ、ハーフエルフへの弾圧は撤回された。勇者ミトスがハーフエルフであったことも公になり、教会は、ハーフエルフを騙る悪しきディザイアンこそ、人とエルフとその狭間の者を引き裂く悪魔だと断定した。
 最早、ハーフエルフだからといって研究所の奥底で密かに呼吸する必要はない。彼女たちは街へ出て、人と同じように暮らすようになった。
 けれど、それは教皇の本心でないのだろう。未だに我が子の面会も許してくれないのだから。
 ケイトは祭壇に立つ父の姿を、末席からじっと見つめ続けた。
 どんなに否定されても、彼女は父を愛していた。それこそ、この教会に集まったすべての教徒が女神へ捧げる信仰よりも深く。

敬虔な信徒のように
……ケイト(ゲーム「テイルズオブシンフォニア」)


なんとか滑り込みで、今年最後のSS更新にTOS新作を持って来ました。
ケイトは、「ファンダムvol.2」のクラトス編で破格の扱いがあった割に「ラタトスクの騎士」では名前すら登場しませんでしたね。どんな風に統合後の世界で過ごしているのか、少し気になる人でした。

今年1年、サイトに足をお運びくださった皆さま、誠にありがとうございました。
と同時に、更新がないことを心よりお詫び申し上げます。
本日の50音キャラSSでTOS新作を無理矢理滑り込ませたのは、せめてものお詫びです。

来年はシンフォニア10周年。自家企画は特に考えていませんが、余所様でなにか動き上がればぜひ乗っからせて頂きたいな、などと甘いことを考えております。

それでは、皆さま、よい年をお迎えください。

舞台に引き続き、2012年ゲームの総決算です。
今年遊んだゲームは下記の通りでした(再プレイ含む)。

PSP
  • タクティクスオウガ運命の輪(再)
  • 遙かなる時空の中で3with十六夜記
  • 俺の屍を越えてゆけ(再)
ゲームアーカイブス
  • ベアルファレス
  • サーカディア
  • バウンティソード・ファースト
  • シルエットミラージュ(再)
PSP体験版
  • ツインブレイヴ体験版
  • ロードオブアポカリプス体験版
  • ダンガンロンパ体験版
  • パタポン3体験版
  • オレは少女漫画家体験版
  • ナルル王国物語体験版
  • ToHeart2 ダンジョントラベラーズ体験版
  • 探偵オペラミルキィホームズ1.5体験版
  • 俺の子供を産んでくれ!体験版

以上、再プレイが3本、新規プレイが4本、体験版9本という内訳です。

今年遊んだ中で一番楽しんだゲームは「ベアルファレス」でした。仲間が入れ替わっても違和感ないよう作り込まれたテキスト群と、固定シナリオながらキャラクターの数+主人公の性別に応じた展開など、派手さはなくても遊び込む程にその奥深さが分かるよく出来たゲームでした。序盤の難易度が少々人を選ぶ点だけが残念。

次点で、「タクティクスオウガ運命の輪」DLC3作。思い出を破壊されるのではと警戒していたのに、その思い入れを逆手に取られた感。酸っぱい葡萄(2011年2月2日記事参照)じゃなかった!
それと、「シルエットミラージュ」も、最初は難し過ぎてクリアを諦めていたのですが、やり直す程にプレイヤーの上達を感じられるバランスが良かったです。

今年は後半は再プレイや体験版ばかりでしたが、出来れば来年はまたアーカイブスをダウンロードして、昔遊べなかったゲームに触れてみたいと思っています。

恒例、2012年観劇の総決算です。
今回は宝塚とそれ以外の一般舞台を分けてまとめます。

宝塚公演(中継含む)
  • 星組「オーシャンズ11」
  • 宙組「仮面のロマネスク/Apasionado!! II」
  • 宙組「ロバート・キャパ」
  • 花組「復活/カノン」
  • 雪組「ドン・カルロス/Shining Rhythm!」
  • 宙組「華やかなりし日々/クライマックス」
  • 宙組「銀河英雄伝説@TAKARAZUKA」
  • 宙組新人公演「銀河英雄伝説@TAKARAZUKA」
  • 専科「おかしな二人」
  • 「霧矢大夢ラストデイ」中継
  • 「大空祐飛ラストデイ」中継
一般舞台
  • ラ・カージュ・オ・フォール
  • 平成24年2月文楽公演(第3部)
  • SAMURAI7 プレビュー公演
  • コーヒープリンス1号店
  • エリザベート
  • スリル・ミー
  • ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ

以上、17作品22回。DVDは観劇回数に含めません。

宝塚15回(10演目+新公)、一般舞台7回。よって、宝塚率68%でした。
今年はちょうど半年の7月1日にご贔屓が退団したので、50%を下回るかもと予測していましたが、まさかの「銀河英雄伝説」公演で複数回重ねてしまったのでした。
なんせ、初めて新人公演まで行ってしまいましたからね。
一方、作品数は去年と一緒ですが、回数は減っています。元々、私は複数回観劇するより広く浅くという感じなので、2013年は更に回数が減りそうです。作品数は増えるかも知れませんけれどね。

今年最も感動した作品は……「大空祐飛ラストデイ」中継。作品が云々を超えて、退団公演というものをファンの立場で体験したこと自体が感動でした。
最も満足した作品は、宝塚雪組「ドン・カルロス/Shining Rhythm!」。三拍子揃ったスターの実力と、華やかな絵面に派手な群舞という、万人にお奨めできる作品でした。
今年最大の駄作賞は、星組「オーシャンズ11」と「コーヒープリンス1号店」に進呈したいと思います。でも駄作と認定しつつ、来年の花組「オーシャンズ11」再演はちょっと興味あります。
最萌賞は「SAMURAI7」のウキョウさまです。「キモ可愛い」のジャンルに初めて萌えを体感しました。

来年の予定で決まっているのは、今のところ下記の通り。
1月 新国立劇場「音のいない世界で」
   スタジオライフ「11人いる!」
2月 ロックオペラ「モーツァルト」
5月 宝塚宙組「モンテ・クリスト伯/Amour de 99!!」
もしかしたら、来年こそ宝塚と一般舞台の比率逆転があるかもしれませんね!

五十音順キャラクター・ショートショート【く】
→ルールは2012年12月17日記事参照


 国中から灯火が消えてしまったみたい。
 幼い少女は尖塔から城下を見下ろし、そう呟いた。
 この国の王は死んだ。かつて世界を救った英雄は病床にしか残っておらず、人々が希望を失うのも仕方ないように見える。
 けれど、少女は知っている。
 焼け野原の大森林に、希望の芽は遺された。
 もうひとつの世界から訪れた光の戦士たちと、他ならぬ少女自身だ。
 遺した国王、彼女の祖父は言った。立ち上がる理由は、怒りでも憎しみでもないと。
 いまは彼女にも分かる。
 立ち上がる理由は、この国の人々、愛する者を護るためだ。
 だから、もう一度灯火を点そう。それは彼女の体と同じように小さな小さな光かも知れないけれど、いつかその灯りで国中を照らし、希望が大地に恵みを与えるように。

国の灯火
……クルル・マイア・バルデシオン(ゲーム「ファイナルファンタジー5」)


書き上げてから調べたところ、クルルは14歳なんですね。プレイヤーだった当時の私より下の年齢をイメージしていたので驚きました。
ガラフが好きで、クルルも好きだったので、キャラクター交代は凄く複雑でした。