• 2014年02月登録記事

宝塚宙組「翼ある人々 -ブラームスとクララ・シューマン-」2/27感想の続き。

終演後にミニトークショー(抽選会付き)がありました。
出演者は、緒月遠麻、朝夏まなと、澄輝さやと(司会)、すみれ乃麗、美月悠、伶美うららの6人。
澄輝さやとは、いきなり挨拶から噛みまくって、客席を温めてくれました。全員着席した時点で「もうダメだ」と溢したのがマイクに拾われたのも、申し訳ないけれど笑わせてもらいました。
話題は、役についてと、シアタードラマシティ公演から東京初日までにあった失敗談、共演者同士の関係、オフで打ち込んでいることなど。
生徒たちは喋りは本業でないので、説明は巧くないし、話している内容も文字にして特別面白い話でもないのですが、素顔が垣間見える緩い会話で和みました。朝夏まなとと緒月遠麻は、鳥目なので袖の段差に躓くとか、早変わり室から舞台に戻るときは朝夏まなとがエミール役の秋音光に手を引いてもらい、逆の手で緒月遠麻を引っ張って行くなどという話は、実演も入っていて面白かったです。

個人的には、「銀河英雄伝説」のときの話がちらっとあったのが嬉しかったかな。他の公演の話としては、「風と共に去りぬ」新人公演にトップ以下スター5人が鼓笛隊として特別出演したときのことも。朝夏のフルートは、実際に演奏していたんですね。
下級生のすみれ乃麗と美月悠は会話への参加率がやや控えめでしたが、美月は好きだという「スキューバダイビング」のことを語った時は熱が入っていました。25時間もかけて小笠原諸島へ行ったという話には、他のメンバーが吃驚していました。もっとも、私としては、朝夏まなとがあのスタイルで「泳げない」という発言の方にもっと驚きました。

以下、キャスト評です。
なお今回は、歌の善し悪しは個別には言いません。メインキャストほぼ全員、歌劇団という名に含まれている語を考えて欲しいレベルでしたわ。

ブラームス@朝夏まなとは、格好良くなりましたね! 子供たちの面倒をみてあげるところは優しいお兄さんという感じで、素敵でした。
ロベルト・シューマン@緒月遠麻は、静かに心を病む様がさすがの演技でした。シューマン夫妻に関しては、役者のキャラクターと役のイメージが合っていて、配役時点で勝利していたと思います。
クララ・シューマン@伶美うららは、とにかく白眉。美貌と落ち着いた物腰と気品。役と完全に合っていました。

ヨアヒム@澄輝さやとは、美味しい役。軽薄な一面はあってもいい男だと思います。殴り合いシーンの「明らかに殴ってない」感は、ちょっと苦笑してしまいましたが、殴る練習をしろというのも難しいですしね。
ユリウス@美月悠は、こんなに出番のある役で観るのは初めて。特別巧い方ではないけれど、台詞回しが出来ているので邪魔にはならないかな。それより、フィナーレの黒燕尾の踊りで惹かれました。
ルイーゼ@すみれ乃麗は、これまでもよく見た若い娘の役。ところが冒頭とラストには老女として登場します。これが、本人が演じていることが吃驚の老け具合で、思わずオペラグラスで確認しました。いい芝居でした。

リスト@愛月ひかるは、少し嫌味だけれど悪い男ではないですよね。まぁ、役者のせいか、ナルシストな面は多分にあると思ったけれど(笑)。額を出す髪型のせいか、頻繁にオーベルシュタイン@銀河英雄伝説新人公演を思い出しました。
ホーエンタール伯爵夫人@純矢ちとせは、独特の存在感で社交界に君臨している感がありました。
ベートーヴェンのようなもの@凛城きらは、割と盛大に笑われていました。難しい役だったと思いますが、ほぼすべて怒鳴っている台詞でも、台詞がクリアに聞こえるのは凄いと思いました。

小さな王国エルトリア

PSゲームアーカイブス「小さな王国エルトリア」を始めました。
→小さな王国エルトリア ソフトウェアカタログ

国を経営し、花嫁候補である女の子と仲良くし、最終的には魔王も倒すシミュレーションゲーム。

で、突然ですが、1回目のプレイは終わりました。
「ちょっと遊ぼう…」と思って、気付くともの凄く没頭しているタイプのゲームでした。
その理由として、プレイ期間には作中2年という期限があるのに、やることが凄く多い点があります。あれこれ計画を頭の中で立てていると、その流れを生む為に長時間遊んでしまうのでした。見た目は、のんびりちまちま遊ぶゲームに見えたので、少し意外です。
1プレイに必要な時間は4〜5時間だったので、周回すること前提みたいです。
迎えたエンディングは、1年後に魔王が復活して王国が消滅するというBADエンド。王国はご覧の通り非常に良く発展していたのですが、魔王を倒さない限りBADエンド直通のようですね。

王国ステータス

かなり効率のいいプレイが必要そうなので、少し検討してから挑戦したいと思います。

初めてのプレイで、ノウハウがないので最初の1年は非効率なことをたくさんしてしまいました。
一番は、お金の使いかたですね。
補佐官の助言に則り、開拓と都市開発を中心にしていたのですが、たぶん最初は国土整備より技術開発を進めて、税収入に頼らず経営できる基盤を作る必要があるようです。序盤は金がなくなり、追徴課税もこれ以上重ねるのが怖くて休養しちゃったりしましたが、金稼ぎに気付いた後半は、お金が余るほどでした。
もっとも、「シムシティ」の市長なら泣いて感激しそうなほど心の広い民衆なので、追徴課税があっても支持率の下降率は低いし、「パレドゥレーヌ」みたいに蜂起されるルートはなさそうなので、無視しても良いのかもしれません。

それから、「仲間が増える」ことに全然気付いていなくて、2年目の1月に初めて5人目以降の仲間が入りました。
この辺は、うまく立ち回ればもっと早く視察も進められた筈。
補助魔法の重ねがけや、露天商を出現させて装備を良くするのも重要な要素でした。

戦闘

龍は退治できましたが、制限期間ギリギリで、その先に進めず。あと半年くらい期間を延長してもらえれば、魔王に行き着いたかも知れないのになぁ。

可愛い1枚絵イベントが用意されているので、イベント達成率やCGアルバムがあれば、もっとやりこみ意欲がそそられそう。その辺の不備がちょっと残念ですね。

イベント

でも、何度も遊べそうな面白いゲームだと思います。
PSPにしばらく在中させておくことにしました。

高田郁著「出世花」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
少女・お艶とその父親は妻敵討ちの末行き倒れ、墓寺に身を寄せた。苦悶の末死んだ父の亡骸が湯で洗われ、安らかに死後の世界へ旅立つのを見た彼女は、養子縁組の申し出を断り、自ら屍洗いと蔑まれる湯灌に従事する。やがて、死者を心を込めて清めるその仕事ぶりから、「三昧聖」と呼ばれるようになる。

高田郁デビュー作。筆者の、江戸時代に対する造詣の深さはさすがの一言で、当時の葬儀関係の話はとても勉強になりました。
キーアイテムとしてお菓子が存在していたり、食事の光景が丁寧な辺りは、やはり将来「みをつくし料理帖」を書くことになる作者だなぁと思います。

一言で言えば、江戸時代版「おくりびと」。
死を扱っているし、死体はたくさん出てきますが、とても清々しいお話でした。

お艶(改名してお縁→正縁)は、非常に不思議なキャラクター。
こんないい子は、いません。しかもまだ幼いうちから、こんな大変な仕事に対して真摯に向き合っている健気さに、なんとも言えなくなります。
ただ、あまりに最初からいい子すぎて、少女時代から19歳まで描いているのに成長幅が小さいというのは、致し方ないことかな。

三浦しをん著「風が強く吹いている」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
高校陸上界のエースだったが暴力事件で退部した過去を持つ寛政大学1年生のカケルは、万引きをしたところを4年生のハイジに捕まり、なりゆきでハイジが住むボロアパート竹青荘の10人目の住人となる。実は大学の陸上部錬成所だった竹青荘の10人は、運動音痴やヘビースモーカーも含めて箱根駅伝を目指すことになる。練習、合宿、予選会、そして箱根駅伝を通じて、10人はそれぞれの「走る意味」を問うていく。

素人同然の大学生が箱根を走るという設定の時点で、荒唐無稽だと思うけれど、これは現代日本である種の「ファンタジー」を描く三浦しをんの作風ですね。そして、個人的に努力が報われる話は好きなのでした。
なにより、読み進めるほどに、一癖あるけれど魅力的な竹青荘(アオタケ)の10人を応援したくなります。
個人的には、浪人・留年で25歳のニコチャン先輩と、留学生のムサが好きですね。
キャラクターの発言がいちいち御尤もで、他メンバーのタイムに文句をつけたカケルにハイジが激昂して言う「きみの価値基準はスピードだけなのか。だったら走る意味はない。新幹線に乗れ! 飛行機に乗れ! そのほうが速いぞ!」には思わず笑いました。

本編659ページという文庫にしては分厚い本。読んでいった際、半分に差し掛かったところで、全体の構成がわかり驚きました。
本文中、約2/5で箱根当日を描いています。つまり、練習したり予選会に出たりするのは3/5で消化するのです。
努力する姿を賛美する青春小説という側面は確かにあるけれど、それ以上に、箱根駅伝というもの自体が題材なんですね。いままでテレビ画面を通してしか知らなかった大会が、ぐっと身近に迫りました。

最後に、余談ですが「大掛かりな装置が必要ないので割とうまく舞台化できそうな話だな」と思ったら、とっくに映画化・舞台化されていました。キャストが結構面白い配役だったので、当時知っていたら観に行っていたなぁ。もっと早く読むべきでした。