• 2014年02月04日登録記事

上橋菜穂子著「精霊の守り人」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
女用心棒バルサは、帝妃から精霊の卵を宿す皇子チャグムを託される。チャグムに宿った精霊は建国神話に登場する魔物と思われ、威信を守る父帝から刺客を差し向けられる。だが土着の民の伝承から、建国神話は歪めて伝えられており、精霊を孵さねば大干ばつが起こることが分かる。バルサと刺客は共にチャグムを卵を狙う魔物から守り、卵を孵したチャグムは皇子の地位に戻ってバルサと別れる。

面白い。エンターテイメントとして痛快というより、多分にinterestな体験をさせてくれる、上質なファンタジー。人気のシリーズであることが良く実感できます。
文化人類学の教授が書く異世界ファンタジーだけあって、世界観が作り込まれていますが、私が一番良かったと思ったのは、登場人物が年齢に関わらず全員「大人」だという点です。誰もが、自分の立場とすべきことを弁えていて、その仕事をちゃんとやり遂げる姿は清々しいです。
ガカイのように、能力が足りていない憎まれ役的なポジションの人物もいますが、彼の行動も彼の考えとしては一本の筋が通っていると分かるので、すべての人物の立ち位置に納得できるのです。

ちなみに、ゲーマーなので、バルサとチャグムの関係性に「アンリミテッドサガ」のローラ編(30歳の未亡人ローラが、王子アンリを助ける貴種流離譚)を重ねたりしつつ読みました。

ああ、アンサガ遊ぼうかなぁ……。