• 2014年02月09日登録記事

須賀しのぶ著「流血女神伝 帝国の娘」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
猟師の娘カリエは、北公に拐かされ、病床にある第三皇子の影武者となるよう強要される。皇子の忠実な従者エドに教育され男装したカリエは、他の皇子たちと共に次期皇帝を目指す日々を送る。しかし、第三皇子はカリエと再び入れ替わることなく亡くなってしまう。北公の命を受けカリエを殺し、自身も死のうと計るエドに、カリエは共に生き抜くことを持ち掛ける。

いかにもコバルト文庫らしい、少女向けライトノベル。
軽妙な文体なので手軽に読み進められます。

展開的には予想通り進むけれど、それは王道の面白さということで安心して楽しめます。
身代わり教育がそんなすぐ身に付くか、と突っ込みたくもなるけれど、不屈の主人公カリエのキャラクターに魅せられたので不問に。もっと暗い物語になってもおかしくないところを、彼女の性格が救っていると思います。その他のキャラクターも、自分の立場や信念に基づいて行動しており、概ね好感が持てます。

細かく設定された世界観に、異世界ファンタジーを書く作者の一番楽しいところは歴史作りですよね、と勝手に親近感を覚えました。

上下巻で一応区切りは付いているものの、実際はシリーズの開幕という位置付けで、明かされていない謎が残っています。
スッキリしたいけれど、コバルトってシリーズ化すると長いんですよね。本作も全27巻だそうで、手を出すべきか悩みます。