須賀しのぶ著「流血女神伝 帝国の娘」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
猟師の娘カリエは、北公に拐かされ、病床にある第三皇子の影武者となるよう強要される。皇子の忠実な従者エドに教育され男装したカリエは、他の皇子たちと共に次期皇帝を目指す日々を送る。しかし、第三皇子はカリエと再び入れ替わることなく亡くなってしまう。北公の命を受けカリエを殺し、自身も死のうと計るエドに、カリエは共に生き抜くことを持ち掛ける。

いかにもコバルト文庫らしい、少女向けライトノベル。
軽妙な文体なので手軽に読み進められます。

展開的には予想通り進むけれど、それは王道の面白さということで安心して楽しめます。
身代わり教育がそんなすぐ身に付くか、と突っ込みたくもなるけれど、不屈の主人公カリエのキャラクターに魅せられたので不問に。もっと暗い物語になってもおかしくないところを、彼女の性格が救っていると思います。その他のキャラクターも、自分の立場や信念に基づいて行動しており、概ね好感が持てます。

細かく設定された世界観に、異世界ファンタジーを書く作者の一番楽しいところは歴史作りですよね、と勝手に親近感を覚えました。

上下巻で一応区切りは付いているものの、実際はシリーズの開幕という位置付けで、明かされていない謎が残っています。
スッキリしたいけれど、コバルトってシリーズ化すると長いんですよね。本作も全27巻だそうで、手を出すべきか悩みます。

コメント

水輪

 あ、また須賀さん。
 私はちょうどキルゾーンシリーズ終了あたりでコバルト卒業しちゃったんですよね。
 コバルトの路線が変わっちゃったので。
 今、ラノベ売り場に行くと、その狭さに寂寥感を覚えます……←ある意味コバルト全盛期の影響を受けた人

麻生壱埜

はい、「芙蓉千里」が面白かったので、原点に戻ってみました。
私はターゲット世代の頃は、逆に恥ずかしくてコバルトを読めなかったタチなので、今になって拾い集めている感じです。
絶版が多くて結構大変ですが、意外と一般レーベルを変えて再出版されていることもあり、コバルトと一言で言っても幅が広いなと思います。

水輪

 絶版なんです……(涙)。
 氷室冴子さんの「銀の海、金の大地」とか一部完結くらいのところで終わってますけど、内容もですが、書くということ、についても、ふむふむな話ですよ。
 たぶん、探すのが大変でしょうけど、「なんて素敵に〜」より面白いと私は思います^-^←つまり日本の歴史ものっぽいファンタジーっぽい感じ?
 本当は未収録短編が一番好きだったのですが……訃報を見た瞬間、あれはどうするのー!と思ったのを覚えてます

麻生壱埜

「銀の海、金の大地」は読んだはずですが、鳥頭なので、ブログがなかった時代の読書内容は記憶が残っていません……。
イラスト集とかもありましたよね。
未完の作品が出来てしまうのは、本当に残念なことです。
氷室先生の作品で私が一番好きなのは、実は漫画原作をされた「ライジング!」かもしれません。
ちなみに、「なんて素敵に〜」は守弥が好きだったので、割と熱心に読んでました。

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