高田郁著「出世花」

【あらすじ(最後までのネタバレ有り)】
少女・お艶とその父親は妻敵討ちの末行き倒れ、墓寺に身を寄せた。苦悶の末死んだ父の亡骸が湯で洗われ、安らかに死後の世界へ旅立つのを見た彼女は、養子縁組の申し出を断り、自ら屍洗いと蔑まれる湯灌に従事する。やがて、死者を心を込めて清めるその仕事ぶりから、「三昧聖」と呼ばれるようになる。

高田郁デビュー作。筆者の、江戸時代に対する造詣の深さはさすがの一言で、当時の葬儀関係の話はとても勉強になりました。
キーアイテムとしてお菓子が存在していたり、食事の光景が丁寧な辺りは、やはり将来「みをつくし料理帖」を書くことになる作者だなぁと思います。

一言で言えば、江戸時代版「おくりびと」。
死を扱っているし、死体はたくさん出てきますが、とても清々しいお話でした。

お艶(改名してお縁→正縁)は、非常に不思議なキャラクター。
こんないい子は、いません。しかもまだ幼いうちから、こんな大変な仕事に対して真摯に向き合っている健気さに、なんとも言えなくなります。
ただ、あまりに最初からいい子すぎて、少女時代から19歳まで描いているのに成長幅が小さいというのは、致し方ないことかな。

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