宝塚宙組「翼ある人々 -ブラームスとクララ・シューマン-」14:00回。
素敵なポスターに惹かれて、平日なのに観劇。観てよかったです。
演出は「月雲の皇子」でデビューした上田久美子先生。今回もスマッシュヒットでした。まず、舞台の絵面が美しいです。舞台構成や、場のつなぎ、衣装といった見た目で楽しませてくれるのは、宝塚を観る満足度をあげてくれます。美しさはそれに留まらず、台詞や音楽も、気品があってうっとりします。全体的に繊細な感性を感じました。
脚本は、一幕終盤の盛り上がりが強く、その分二幕は少し淡々とした展開が続いて印象が弱くなってしまった気がしたけれど、良く練られていたし、重い芝居の中でもコミカルな笑いを適度に取り入れるなど、緩急が付くようになりました。
考えてみると、今作も前作も「単なる悪人」という人物は登場しないのですね。上田先生の作風なのだとしたら、凄く嬉しいなぁ。安心感と期待を持って、次回作を待とうと思います。
シューマンとブラームスという師弟関係にある2人と、師の妻クララという三角関係。ドロドロの愛憎劇にもできる題材ですが、その愛の根底は「敬愛」だったので、清く白い舞台になっていました。
デュエットダンスでもブラームスとクララは一度も触れ合うことがないように、“実際的な”関係はないけれど、2人が魂で交流し合っている様子はまざまざと見て取れました。
ところでこの作品、音楽の山を登り天まで飛んでいくということで、ブラームスが「翼ある人」になる過程を描いているわけですが、タイトルは「翼ある人びと」という複数形なんですよね。
「翼」を得て1人飛ぶブラームスが大空を寂しいと言うのは、それまでは3人で飛んでいたからじゃないのかな、と思いました。
ちょっと具合が良くないので、トークショーの話とキャスト評は明日の記事にまわします。