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宝塚星組「ガイズ&ドールズ」11:00回を観劇。
http://kageki.hankyu.co.jp/revue/2015/guysanddolls/

1幕終盤・第9場B(はじめての恋を歌うシーン)で、舞台機構トラブルによる20分の中断がありました。
最初は、銀鏡で会話する主演2人のマイクが消えたので、マイクトラブルかと思いました。生声でそのまま演技を続ける2人を心の中で応援していたものの、そのまま歌「はじめての恋」に突入し、さすがの北翔海莉でも、マイク無しだと低音域は伴奏に負けてしまって歌詞が聞き取れない、とヤキモキしていました。本名を明らかにする辺りで、指揮者席の赤いランプが灯り、2人は舞台袖に退場。場内アナウンスで舞台機構トラブルによる中断と知らされたのでした。
関係者は大変だったと思いますが、役者やスタッフの怪我等でなかったということで、観客としてはレアな体験をさせてもらいました。

作品に関しては、さすがにブロードウェイミュージカルだけあって、音楽は良曲揃いですし、筋書きも無理がなくハッピーエンドに向かう、テンポの良い陽気なコメディです。
また、大劇場お披露目となった北翔海莉筆頭に、礼真琴、美城れん(専科)等が実力で魅せ、紅ゆずるや十輝いりすが持ち前のキャラクターで魅せ、楽しませてくれました。

しかし、演出も台詞回しも古い海外ミュージカル、という評が作品に対する正直な感想でした。

まず、時代や舞台背景の説明が一切ないので、救世軍(The Salvation Army)やクラップゲームといった聞き慣れない単語で戸惑ってしまう人も多そう。歌詞や台詞の訳がいかにも「昔風」で、スムーズに理解できないところもありました。
N.Y.の雑踏を表現したオープニングも、群舞で魅せるでもなく、長いし、星組生徒に疎い身では見分けも付かないし、と退屈しました。
そして最大のポイントは、最終盤、いきなりスカイとサラが結婚していること。その前々場でスカイが去って行ったばかりなのに、次の場面でサラが勝手に結婚を決意し、2人が会うシーン無しに結婚しているという……数場面カットしたのではないかと疑う展開で、呆気ない気持ちで終わってしまいました。
私にとっては、「悪い作品ではないけれど、自分は古臭く感じて合わない」タイプの作品でした。ちなみに、同じ評価は「ME AND MY GIRL」にも下しています。

以下、役者ごと感想です。

スカイ@北翔海莉は、ギャンブラーというには少し真面目そうというか、凄い賭け方をするタイプには見えませんでしたが、その誠実さがラストシーンに繋がるのかなと思います。同時に、ギャンブラー達を教会に連れて行って座らせる迫力には、完全にボスの風格がありました。技術的に歌やダンスが巧いのは周知のことですが、帽子の扱い、腕や足の動きといった要素が非常に美しいのが、経験を積んだ男役ならではの良さだと思います。
サラ@妃海風は、ハバナの酔っ払いシーンが非常に可愛かったです。歌声は、高音の攻撃的な響きがやはり気になりました。
ネイサン@紅ゆずるは、クズな駄目男だけれど可愛いという感じで、本人のキャラクターで巧く作っていました。ただ、滑舌が良ければもっと台詞で笑わせられるのに、何を言っているのか分からないことがあるのが残念です。
アデレイド@礼真琴はとにかく巧いですね。若くて可愛いので、そんな年増女には見えなかったけれど、それだけにネイサンが「あんな良い女はいない」というのも納得でした。
もう一人、最上級の芸達者が、ナイスリー@美城れん。最高の狂言回しだと思いました。仲間のベニー@七海ひろき、ラスティー@麻央侑希の実力も底上げしていたと思います。
アーヴァイド@天寿光希は、老け役……だったのでしょうか? 誠実で良い青年に見えるので、サラの恋人なのではないかと思ってしまいました。
目を引いたのは、ジョーイ@十碧れいや。非常に冷酷な雰囲気があって格好良かったです。

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