三本足鳥の囀＠麻生壱埜

北翔海莉トップスター就任プレ御披露目公演ということで、駆け付けました。
三拍子揃った実力者らしい、語って歌って踊ってどれも安定している堂々の舞台姿は、これがトップ初仕事とは思えないくらいでしたが、フィナーレでナイアガラ付き大羽根を背負って現れた姿には心揺さぶられました。
ただ、他は十輝いりすしか判別できないレベルだったので、星組は私にとってアウェーなんだな、と思い知りました。ちょっと寂しいです。

まずはミュージカル・ロマン「大海賊 ー復讐のカリブ海ー」。
月組初演は未見。大空祐飛出演作品ということもあり、一部の役名やオチは知っていました。
駄作という評を聞いていたので、覚悟していたのですが、蓋を開けてみたら「普通の宝塚オリジナル」という印象でした。むしろ、「演出が谷先生だったら最後は皆殺しだったな」と考える余裕があったくらいです。
私が擁護できないことは、主人公の少年時代が長い点、主人公とヒロインが出逢うのが遅すぎる点。それ以外では、男女とも役が多く、キャラクターの心情はそれなりに筋が通っているし、多少コメディ要素も入れつつ、単純で分かりやすい筋に出来ています。
恐らく、ラストシーンで斬られたヒロインに銀橋を渡らせる（その後ヒロインは亡くなる）という酷い演出であったのが、全国ツアーだと銀橋がないため、歩かせた感が薄いのも幸いだったと思います。
再々演は勘弁して欲しいですが、このレベルの作品を駄作と皆が言うのは、ファンの求める基準が高くなってるんだなと思いました。

エミリオ＠北翔海莉は、貴族の若様という明らかに合っていない役ですが、熱演。大人になってからは声も良く、低音響く歌に酔いしれました。
エレーヌ＠妃海風は、上手だけれど声質が北翔と違うので、デュエットになるとやや攻撃的に感じました。
実質二番手のエドガー＠十輝いりすは、予想外に良かったです。上背があるし、濃い顔なので、悪役を演ると格好いいですね。
キッド＠礼真琴は、以前は線の細さが目立って子供にしか見えなかったのですが、今回は問題なく男に見えました。逆に、歌は期待していたほどでなく、曲によって差があると思いました。ただ、会場の音響自体があまり良くなかったので、その影響は否定できません。
聞き耳＠壱城あずさは、初演は霧矢大夢だと知っているせいで、もっと軽妙に、台詞回しを巧く、と期待してしまって点が辛くなりました。
マリア＠白妙なつが、端役ながら歌も台詞も聞き取りやすく目を引きました。アン＠音波みのりも、勝ち気な良い女でした。
小さい役では、サンタカタリーナが襲われた時に最初に歌い出した男役にアンテナが立ちました。夏樹れいだと思います。拝み屋役はあまり印象に残りませんでしたが、ここの歌だけで評価するなら、礼真琴より好みなくらいでした。

エミリオ、エレーヌ、キッド、マリア以外は、台詞が不明瞭なところがあって全体的に気になりました。

続いてロマンチック・レビュー「Amour それは…」。
宙組初演は映像で見ています。中詰以降は全然覚えがなかったのですが、今回のために変更された箇所なのか、単に私の海馬から抜け落ちたのか、どちらでしょうか。
ひたすら歌うか踊るかなので、レビューというより、ディナーショーのようだと個人的には思いました。特に、ハンドマイクで客席降りを交えながら３曲歌ったのは、ただの歌謡ショウ状態（苦笑）。
北翔海莉のファンサービスはいつも丁寧ですが、舞台に１人しか登場していないのに１階席の後ろまで行ってしまうと、２階席の客を置いてけぼりにしてしまうのですよね。演出もそれを配慮しておけば良いのに、と思いました。

最後に余談。
3月11日記事で話題にした宝塚公式ホームページのリニューアルは、スマフォ向け改良だと思っていましたが、今日同行の友人は、スマフォで見て公演ページの詳細メニューの存在に気付かず、キャストや上演時間を確認できず困っていました。
タップして詳細メニューを呼び出す作りは、埋没するデザインだと難しいですよね。