10月25日記事の続きで、宝塚宙組「銀河英雄伝説@TAKARAZUKA」18:30回の感想です。
まず、前提として。
麻生は原作ファンです。……といいつつ、実は漫画版から入って、当時発刊済だった漫画8巻辺りまで読み、続きが知りたくて原作2巻から原作に入りました。1巻はかなり最後の方に読んでます。今では原作小説が一番好きですが、初期漫画版も、巧く外伝エピソードを絡めていたりして、好きなアレンジです。逆に、アニメは気になる話をピックアップして拝見したのみで、提督方に声のイメージは持っていません。
そして同時に、麻生は前宙組トップスターファンです。当然、宙組の観劇回数は群を抜いており、出演者たちへの思い入れも半端ありません。
こういう次第ですので、原作ファンとして観劇するのか、宝塚ファンとして観劇するのか、自分の立ち位置に多少不安を抱きつつの観劇となりました。
結論としては、原作ファンゆえに初見でも会話の意味が掴め、宝塚ファンゆえに@TAKARAZUKAのお約束を理解している分、お得に楽しめたと思います。
なんせ、冠付きの御陰で衣装は豪勢。間近で観ても織りの良さに惹き込まれる生地でした。また、高さのある装置が多用されている上に盆も回るので、大道具や進行役もフル回転。照明は1階だと目が眩んでしまって良さが分かり難いけれど、開幕前の宇宙の中に放り込まれるような明かり等、よく作ったな!と感動。そんな舞台そのもののレベルの高さに満足できます。
ただ、脚本は原作の展開を一旦バラしてから接ぎ直した感じで、舞台演出に巧く落とし込んだ部分がある反面、原作の良さを殺した部分も多々あります。
改変は私は許容範囲でしたが、あと一言台詞を入れれば良いのに、と思うところが多々あったかなぁ。
とにかくエピソード満載なので、状況を把握するのに忙しく、特に2幕は原作知識で補わないと会話の意味が掴めないのでは、と懸念しています。次回、原作未読の友人を連れて行くので、感想が楽しみです。
以下、役別感想です。
ラインハルト@凰稀かなめは、久し振りにその美貌が活きていたと思います。マント捌きに安定感があったのも、予想外の良いポイントでした。軍服以外はありませんが、4回着替えるのが如何にも宝塚。個人的に、一番好きなのは1幕後半の黒軍服に白マントです。
ヒルダ@実咲凛音、原作とはだいぶ違って、ラインハルトに思い入れているキャラ。ちょっとフレデリカ要素が加わっている感じですかね。押し掛け秘書官の下りを除けば、知的な雰囲気もあったと思います。
オーベルシュタイン@悠未ひろは、観終わった後一番印象に残ったキャラ。一言で言えば、観劇中「HENTAI」という単語が頭から離れなかった(笑)。あそこまで突き抜けて面白いと、原作がどうこうと言うのは野暮かな、と思ったくらい。
ヤン@緒月遠麻は、ある程度分かりやすい性格に変えられていましたが、頭を掻く仕草や語り掛け方等で、演者は原作のイメージを巧く表現していたと思います。
キルヒアイス@朝夏まなとは、元々美味しいキャラクターを誠実に演じていて、今回当たり役になるのでは。個性的な顔立ちだと思っていましたが、赤毛が似合うのか、格好よく観えました。
双璧はビジュアル要員でした。
ミッターマイヤー@七海ひろきは、登場の瞬間からミッターマイヤー然としていて、期待通りの出来でした。真っ直ぐでハッキリした男であることも、愛妻家であることも伝わってきます。なにより、二次元っぽい髪型がよく似合いますね。どうセットしているのか不思議です。
ロイエンタール@蓮水ゆうやは、提督たちが恋人と組んで踊る決戦前夜で、1人だけ女性に手を回さず、クールだったのが素敵でした。ただ、全体としては役者の無駄使い感がありました。特に双璧はコンビ扱いの御陰で、少し割を喰ったのでは。
というわけで提督たちで美味しかったのは、ビッテンフェルト@澄輝さやと。芸風と違うキャラで心配していましたが、表情からして常に猛将っぷりを現していて驚きました。役者は凄いですね。
アンスバッハ&ラップ@凪七瑠海は、どちらも見せ場がなく残念。ラップは登場したら死ぬだけの役なので問題外として、アンスバッハが有能に観えなかったのは脚本のせいだと思います。細身と声質のハンデもあり芝居は苦戦していましたが、フィナーレではそのスタイルと可愛らしさに目が釘付けでした。
その他、脇役ではジェシカ@純矢ちとせが、超儲け役。そして、その「儲け」を着実に掴んでいました。ジェシカVSトリューニヒトの2ヶ所が、公演中一番の聞き所でしたね。全体的に衣装もスッキリしたスーツで良かったです。
対するトリューニヒト@星吹彩翔は、小柄さが弱点だと改めて思いましたが、その他は文句のないトリューニヒト。同盟の政治家は、歌えないと勤まらない職だと良く分かりました(笑)。
歌上手といえば、ロイヤルファミリーの皆さまも少人数で凄い厚みの歌でした。
ブラウンシュバイク公@一樹千尋は名演。傲慢さ、高貴さ、心の弱さ、全てがリアルでした。元々好き方なので、出演して頂けて本当に嬉しいです。
この公演では死亡シーンが何ヵ所もありますが、死ぬのが一番巧かったと思うのはフレーゲル@月映樹茉です。退団が寂しくて、かなり目で追ってしまいました。
ルビンスキー@鳳樹いちは、久し振りに格好良いビジュアルを作ったのに、フィナーレ以外魅力を爆発させるとこがなく、ちょっとガッカリ。
ユリアン@伶美うらら、生粋の男役だったら人気が炸裂していたのでは、と思わされる清冽な佇まいの美少年で、娘役とは思えずビックリしました。
本公演はあと1回、プラス新人公演を観にいきますので、詳細感想はまたの機会にします。