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明治座「源平盛衰記異聞 巴御前 女武者伝説」14:30回
http://www.meijiza.co.jp/info/2013_08/

【注意!】辛口です。

ネットで舞台評を探してもほとんど見当たらなかったため、自分で観に行ってみました。
結論から申し上げると、批評不能な作品でした。
「終わりよければすべて善し」という言葉がありますが、本作の場合は見事に逆。二時間半かけてチャンバラをし続け、結末で「これまでの戦いは無為だった」と語る舞台に、なんの意味があるのでしょう。
要所では笑わされたし、小ネタは良かったので、痛快な娯楽作品に徹したら面白かったでしょうに、残念です。

脚本家はなぜ「自衛隊の存在意義」を問題提起したのでしょう。観劇中、頻繁に現実を考えさせられて白けました。舞台上でなにも答えが出せないなら、触れる必要もなかったのでは。
他にも色々なテーマが盛り込まれていたのですが、多すぎてもう忘れました(笑)。それだけ、客に考えさせ過ぎなのです。
例えば冒頭、日本国内で自衛隊演習中、国籍不明機に迎撃されるという事件が起こります。物語中盤でアサヒ自身が「普通起こり得ることでない」とこのことを語っているのに、この事件についてはそれ以上の情報が出てきません。登場人物がわざわざ語ることで「事件が起きたこと自体になんらかの理由があるのでは」と悩ませておいてそのまま放置するとは、真剣に観ている客に対して酷い仕打ちです。
結局「タイムスリップするための理由付け」でしかないなら、演習中の爆発物の取り扱いミスだとか、もっと有り得そうな事故にして、事件自体に疑問を抱かせるべきでないと思います。

結局、客席で帰り際に聞こえた「なにがなんだったのか、わからなかった」という感想が、脚本に対するすべてでした。

演出、キャスト等は奮闘していたと思います。
ビジュアルは、時代考証など無視して芝居的で良かったです。
主人公朝陽(巴御前)@黒木メイサは、四六時中怒鳴っている人物像こそ苦手でしたが、アクションの格好よさは素晴らしかったです。
義仲@的場浩司は、思っていたより大柄で舞台映えするので驚きました。義仲が非常に格好いい男として描かれていたので、正直大儲けでしょう。
根井行親@山崎銀之丞はさすがの巧さ。逆に、今井兼平@大河元気は、いつも「素っぽい」ので演技が巧いかどうか分からないのですが、不思議と華がある子だなぁと感心しました。
二役を演じる新田&義経@堀井新太は、確かに八艘飛びできそうな運動神経。同じく二役の葵御前&静御前@愛原実花は、元気で明るい葵御前が可愛かったです。静御前は悪役寄りの演技で新しい境地だと思いましたが、脚本に対する不満も多い役でした。
楯親忠@早乙女友貴は、流れるような太刀捌きが美しく安定していました。

上演時間の7割は殺陣でないかと思う割合で、アクション芝居としては見所ばかりで楽しかったです。
また、メインキャストは出番が多いので、贔屓役者がいれば三割くらい印象が良くなるのでは、と思います。

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