梶山季之著「せどり男爵数奇譚」

【あらすじ】
小説家である「私」は、古書の転売を専業にする「せどり男爵」の異名を持つ笠井菊哉氏から、氏が遭遇した古書にまつわる6つの物語を聞く。

裏表紙の解説に「傑作ミステリー」とあるのですが、本書はミステリーと言えるのでしょうか?
私自身は、古書にまつわる蘊蓄を楽しむ本だと思いました。古書の世界って、エロスに満ちた、妖しい世界なんですね。本が好きで蘊蓄話が好きな人間にはたまらない反面、小説として見るとヤマもオチもなく、どう捉えたら良いのか困る作品でした。

さすがに古めかしい文体であるものの、特に引っ掛からず読めます。

しかし、古書にまつわる彼是は興味深いものの、「奇譚」ばかり収めたこの書はなんらかの気を放っているような気がします。
最後のお話、第六話「水無月十三ヤオ九」が受け付けず、そのくせ下手に想像してしまう為に読後感が最悪の終わりになったのが残念です。
(上記「ヤオ」は、日本語にない漢字のためカタカナに直しています)

以下、六話については「続きを読む」に隠します。

第六話は、人皮で本を装丁することに魅せられてしまった装丁家の話です。人間の皮を剥ぐだとか鞣す下りは猟奇的で、読んでいて体のあちこちが痛くなりしました。
でも実は、人皮を扱う前の段階も、おりものやら精液の付いた下着を使うなど、異常なんですよね。そちらも加えると、一層気分が悪くなりました。

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