帝国劇場にてミュージカル「レディ・ベス」12:00回観劇。
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本日のカーテンコールのご挨拶は、加藤和樹。お供3人衆(平間壮一、加藤潤一、寺元健一郎)も合わせて、玄関口でのお見送りも担当でした。
大ヒットミュージカル「エリザベート」の脚本・作曲で知られるクンツェ&リーヴァイ作の世界初演、という触れ込みで帝劇が大々的に売り出した新作ミュージカル。
英国歴史物と思っていましたが、重厚すぎず、笑いもあって全体的には楽しめました。
箱入り姫のベスが、自由人ロビンに外に連れ出されて恋をするけれど、王冠と共に生きる決意をするという王道物語。ただ、恋に落ちる過程が抜け落ちていたり、ベスの聡明さが感じられるようなシーンもなく、物語としては少し不足がある気がします。なにより、ラストにカタルシスがなくて、「ここで終わり?」と拍子抜けしたことは否めません。線香花火が消えるような印象を受けました。
しかし、キャストも衣装も豪華で、料金分は楽しめる作品かなと思います。
舞台装置としては、盆の上に、時計の文字盤を模した丸い台を傾けて置き、それを回転させることで場面転換をしていました。八百屋舞台の傾斜向きが変わるということで、役者は演技し難いと思います。でも絵面はスッキリしているし、天文学の話とも被って「運命」を感じさせました。また、全体的に照明が綺麗で、2階席で観る価値のある作品でした。
以下、キャスト別評です。
ベス@平野綾は、行動的な巻き込まれタイプという、少女小説的なお姫様。
私は宝塚の娘役に慣れてしまっているので、所作がもう少したおやかで貴族らしいと良いなと思いましたが、普通は許容範囲だと思います。
ロビン@加藤和樹は、軽いお調子者のキャラクターなので、ちょっと似合っていない気がしました。ベスを窮地に陥れるのは、大体ロビンのせい(苦笑)。
歌のレベルも、帝劇の著名キャストを集めた中で主役格を担うには、物足りないかな。でも生の加藤和樹を初めて観て、満足しました。
メアリー@未来優希は、とても楽しみにしていたキャスト。ロックゴスペル調の曲をパワフルに歌うなど、貫禄もあって良かったです。悪役だけれど、フェリペに恋してしまう乙女な部分は可愛いし、自分なりの正義があって戦ってきたという信念には良くも悪くも王者の風格がありました。
スペイン組、フェリペ@平方元基とルナール@吉野圭吾は非常に美味しかったです! 2人とも策略家で、危険な魅力がいっぱいでした。
アスカム@石丸幹二は、聞き取りやすい四季発声で、導入や中盤の説明役として十二分に活躍。役としては、「まだベスは死ぬ運命にないからロンドン塔から生きて帰ってくると信じている」という下りで、本当に何もせず待つだけなところに、占星術に傾倒してる人って嫌だなぁと思いました(笑)。
アシュリー@涼風真世は、立ち位置がちょっと分かり難いキャラクターでした。家庭教師というより側仕えと思って良いのかしら。
アン・ブーリン@和音美桜は、薄幸な役が非常に似合います。顔立ちがあの時代に合うのかな。なんといっても響き渡る歌声に陶酔。
首切り役人@笠原竜司の筋肉には仰天しました。リュウとかケン@SF2が現実にいたら、こういう体格なんだろうなぁ。
Wキャストの別組み合わせも気になりますが、2回観るほどの意欲が湧かなかったのは、あまり楽曲に惹かれなかったためでしょう。
幅広い曲調を揃え歌上手が集まっているのに、少し残念でした。