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シアタークリエにて、ミュージカル「タイトル・オブ・ショウ(title of show)」13時回を観劇。
http://www.titleofshow.jp

無名の作家と作曲家がバイトと掛け持ちする女優2人を加えて「ミュージカルを作る過程」と「オフ・ブロードウェイからブロードウェイを目指す過程」を描いた、半実話ミュージカル。

作品の感想以前に、ジェフ役・浦井健治の喉が絶不調で、非常に残念でした。
第一声の時点で「あれ?」と違和感を受けて、それでも一幕の前半はなんとか保っていたのですが、後半から完全にしゃがれてしまい、二幕はソロパート以外は囁きレベルの歌でした。
それに合わせてか、周りの3人も抑え気味の印象で、なんだか爆発力のない舞台に感じてしまいました。

また、作品自体も、どういうスタンスで観れば良いのか悩まされてしまい、評価が難しいです。
作中で4人が「100人の人が9番目に好きなものより、9人の人が大好きなもの」になりたいといっていた通りなんですね。決してつまらなくはないし、大いに笑ったし、ブロードウェイ上演のためのブラッシュアップを巡って諍いが起きる辺りは、創作をする人間として心に来るものもありましたので、ひと言だけ感想を求められたら「面白かった」と答えますが、私には合わなかった。

私が9人の中に入れなかった理由は、舞台上の人物が、素のジェフとハンターなのか、「ジェフ」を演じているジェフと「ハンター」を演じているハンターなのか、それとも浦井と柿澤なのか、曖昧だったせいだと思います。
外国製コメディを輸入すると、国民性や前提となる知識の違いで笑えないことも多いのですが、この作品はかなり日本向けに脚色されていて、設定はN.Y.だけれど、実際は日比谷でした。
ミュージカルファンとしては抱腹絶倒のパロディ(四季発声、StarS、各種名作シーン)や、時事ネタがふんだんに盛り込まれています。
ただ、そのせいで舞台上の人物が「誰」なのか、分からなくなってしまったのですね。
脚色って、難しいですね。
また、個人的には面白いことを言ったりやったりされて笑うのは当然だと思います。だから、もっと冒頭の電話シーンのような、ごく普通の会話の掛け合いで面白い舞台を見せて欲しかったかな、と思います。

以下、キャスト評です。
なお、各種チケットサイト等では浦井主演とアナウンスされていましたが、男子2人の比重は大差ありません。そのため、私は心の動きが大きいハンターの視点中心で観ました。

ジェフ@浦井健治は、前述の通り絶不調だったので、評価不能ですが、ウザ可愛いことは間違いありませんでした。
ハンター@柿澤勇人は、四季出身だったのですね。確かに歌も踊りも四季らしさを感じたけれど、ジェフの調子が悪い今回は非常に頼もしかったです。
ブロードウェイ上演のため作品を大衆向けにしようとして、みんなと険悪になっていくシーンは、ハンターの気持ちも分かるので胸が痛みました。
ハイディ@玉置成美は、目が大きく長身という舞台向きの容姿ですね。本業歌手だけあって歌も聴かせてくれましたが、それ以上に、あっけらかんとした空気がいいと思いました。
スーザン@佐藤仁美は、ハスキーな声と芝居が良かった! 男2人だと夢想的なところを、昼はOLとして働いているスーザンや、コーラスで舞台に出ているハイディが入ることで、現実的な計画になっていってると感じました。
しかし、本当にハモれないことには驚きました。役作りなのか、本気で他のパートが入ると自分の音が分からなくなるのか、どちらなんでしょう。
舞台上で時に背景、時にその場にいるという設定でキーボードを演奏していたのは、ラリー@村井一帆。台詞もあって、5人目の役者という扱いで、とても美味しかったです。

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