宝塚雪組「ルパン三世 ―王妃の首飾りを追え!―/ファンシー・ガイ!」11:00回(阪急交通社貸切)を観劇。
抽選お手伝い生徒は璃央じゅん。
もともとアドリブ満載のコメディな上に、貸切会社がネタにし易い阪急交通社ということで、芝居は最初から最後までアドリブ合戦でした。
ロベスピエールのネタは、予想外のタイミングだったので、本気でウケました。
ということで、まずは注目のミュージカル「ルパン三世」。
アニメスペシャル風のドタバタ喜劇でした。
これまでのコラボ作品と比べると、目を惹く派手さや、宝塚による舞台化ならではの巧さ、といったものは感じませんでしたが、コラボ作品として無難な出来だったと思います。完成され切っているキャラクターを借りてきた本作の場合、作中にルパンたち5人を成長させたり人間関係に変化を与えたりできないので、代わりに「物語」部分をマリー・アントワネットとカリオストロ伯爵が請け負っているのですね。そういう制約もあって、わざとタイムスリップ物にしたのかな。
演出は少し散漫で、最初のタイムスリップのシーンはイマイチ分かり難かったと思いますし、追いかけっこが多いので少し疲れました。
また、最初は歌わないと聞いていたが、本当に開演後20分くらいは歌無しだったので驚きました。数回の山場があってしばらくしてから突然歌が入ってきて、それ以降はミュージカルになったのですが、その最初のソロ曲を歌うのは主人公でもヒロインでもないのですから、これはバランスが悪いと言われても仕方ないでしょう。オープニングに使う「ルパン三世のテーマ」が、著作権上の理由で歌詞付きで歌ってはいけない、とか制約があるのかと思いましたが、ラストには歌っていたので、そういった大人の都合でもなさそうです。
ルパン三世@早霧せいなは、巻き舌等も頑張っていましたが、一番素敵なルパンだったのは、最後のスキップですね。あのジャンプは現実にできるものなのか、と感心したし、いい感じの力の抜け具合が実に格好良かったです。
マリー@咲妃みゆは、やはり舞台の上で可憐に見えるという強みが素晴らしいですね。歌も十分歌えるし、今後の成長も楽しみです。
銭形@夢乃聖夏は、予想通りの銭形像。足が細くて長い銭形警部をリアルに再現していました。
カリオストロ伯爵@望海風斗は、出番は若干少なめですが、挫折と復活が描かれていて、最後のオチも持って行くので、非常に良い役ですね。ポスターの時点で悪役だと思って申し訳ないくらい、いいツンデレでした。
ルパンの仲間達はお話にはあまり関わらないのですが、五エ門@彩凪翔は儲け役でしたね。逆に次元@彩風咲奈は、帽子で顔は隠れてしまうし、五エ門に比べるとキャラを崩せないので難しかったのでは。
キャストで唯一不満なのが、不二子@大湖せしる。個人的に声に艶っぽさがなくて残念。柔らかさがなくて、色気も感じないのですよね。私は雪組のショー「ワンダーランド」で、大湖せしる(当時男役)が女装しているシーンを観ているのですが、どうもあの頃と変わっていない気がします。
ショー「ファンシー・ガイ!」は、忌憚なく語るとつまらないショーでした。
初めて、観劇中に欠伸をしてしまいました。しかも3回も。
トップから3番手までの顔ぶれを観て、どうしてこの組み合わせで耽美シーン満載にしようと思ったのか、三木先生を問うてみたいところです。しかも、色々なシーンで既視感満載でしたよ。オペラの場面の男性声も、不愉快でした。宝塚という特殊な舞台に、男性の録音音声を使うのはおかしいと思うのですよ。
番手的に配慮したのかもしれないけれど、夢乃or望海単独のシーンがなく、常にトップスターと3人一組みという使われかたも、なんだか違和感がありました。
黒燕尾のダンス含むフィナーレは良かったのですが、全体的には盛り上がらない作品で、拍手にも熱量がないあたりに、せっかくのコラボ芝居と新生雪組の門出なのに勿体ないなと思いました。
オウミ