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PARCO劇場公演「メアリー・スチュアート」14時回。
http://www.parco-play.com/web/play/marystuart/

メアリー・スチュワート@中谷美紀とエリザベス@神野三鈴の二人芝居。2人の女王をどう描くのか興味があって行ってきました。
PARCO劇場は狭いロビーですが、芸能界からの花が多数飾られていて、とても華やかでした。

時代背景の説明は一切ないまま、視点が切り替わる度にエピソードがどんどん飛ぶ1時間50分は、見終わった後、ドッと疲れました。
英国史を齧っていなかったら、もっと理解できなくて大変だったのではと思います。私も浅い知識ですが、「王妃マルゴ」の冒頭である「聖バルテルミーの虐殺」もこの時代だったのか、と英国史と大陸史がようやく頭の中で繋がってきました。

メアリーは、多少狂気を見せるところもありましたが、基本的には高潔な感じで描かれていました。意外にも「恋に生きた女王」という風ではなく、不誠実なヘンリーに怒りを溜め、ボスウェルの事も疫病神と憎んでいて、男に振り回された女王、という解釈だった感じ。
でも、旧教の自分を新教のベスが認められないことを分かっていなかったことと、イングランドの王位継承権に拘ったところはやはり愚かだと思います。
王者の意識が高過ぎて、「他人がどう思うか」は意識できない女性だったのかな。

2人は、上演中、一度掃除があったタイミング以外はずっと舞台上にいて、大量の台詞を発するので、とにかく大変な芝居だなと思いました。
中谷美紀さんは、ビックリするくらい顔が小さいですね。舞台だと小さ過ぎると思うくらいです。1人で、メアリー、ベスの侍女、そして1シーンだけレティス・ノウルズを演じています。主に声の調子を変えて人物を表現していた印象。一番似合っていたのは、やはりメアリーだったと思います。作中ほとんどの時間は片袖がない奇妙な衣装でしたが、処刑時の赤いドレス姿はとても綺麗でした。
歌は上手で驚きました。
神野三鈴さんは、エリザベスと、メアリーの乳母。まったくタイプの違う女性を自然に演じているのが素晴らしいですが、中でも、舞台の上で、同じポーズから突然別人に切り替わる様には唸りました。
でも彼女の方は、メアリーの乳母を演じているときに、より乗っているように感じました。

演出に関しては、特筆すべき点は見当たりませんでした。
本物の水や火を使っていることは、必然性は感じないけれどリアル感が出て良いかと思ったのですが、花瓶を壊すのはやり過ぎではないでしょうか……。毎公演壊すのか、ということもビックリですし、掃除が入るまで、裸足の演者二人が破片を踏まないか心配しながら観る羽目になりました。
夢の中でマイクを持って歌い出す演出は、時代性から言ってもヘンテコだと思います。

最後に些末なことですが、エリザベスがレティスに対して「冷たいビール」を勧めた箇所に、違和感を感じました。それとも、冷えたビールを勧めることになにか当時の英国ならではの意味があるのでしょうか。

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