帝国劇場ミュージカル「ラ・マンチャの男」18:00回(初日)
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日本演劇界において、単独主演で公演回数1000回以上を超える舞台作品というと、順に「放浪記(森光子)」「ラ・マンチャの男(松本幸四郎)」「SHOCK(堂本光一)」です。しかし「放浪記」は機会を失ってしまい、ジャニーズの舞台は少しジャンルが違います。いうことで、ミュージカルの金字塔くらい観ておこうと思ってチケットを採りました。
2時間強の一幕物。途中で飽きないか危惧していましたが、逆に休憩なしで気が削がれないのが良いのか、最後まで真剣に見入りました。登場人物たちが劇中劇ドン・キホーテを演じている形式なので、個々のシーンがぶつ切りでも気にならないのは利点だと思いました。
掲示されていた終演予定は20時10分だったと記憶していますが、全部終わったのは20時30分過ぎでした。
帝国劇場初日だけあって、ファンが熱く、とにかくカーテンコールが長かった!
客席に明かりを入れて皆で「見果てぬ夢」を歌う、というところまでは予定調和だと思いますが、その後、幸四郎単独の英語版「The Impossible Dream」も披露。曲単体としては「ラ・マンチャの男」の方が格好良く感じるけれど、作品のテーマは「見果てぬ夢」にあるのだな、と良くわかりました。
以下、ピックアップでキャスト評です。
セルバンテス@松本幸四郎
プロローグ以外、ほぼ出突っ張り。
セルバンテスは結構みっともない男だし、演じるドン・キホーテは老人だし、ということで決して格好良い役ではないんですね。でも主役の華が必要な、難役だと思いました。
演技は良いのですが、台詞、歌詞が私には聞き取りにくくて苦労しました。牢屋のセルバンテスが、簡単にメイクするだけで一気に老け込んでいくのは面白かったです。
アルドンザ@霧矢大夢
宝塚退団後も活躍しているのは知っていましたが、機会がなく初めて観劇。
顔が濃いので黒塗りが似合い、素晴らしいビジュアルだと思いました。振る舞いは確かに粗野で教養もないけれど、どこか高潔な雰囲気があるような気もして、キホーテが姫に設定するのも頷けるアルドンサでした。
しかし、高音が弱く残念。アルドンサの曲は割りとキーが高く、霧矢のハスキーボイスには合っていないと思いました。もっとガツンと迫力ある高音が出る役者で聞きたい気がします。
サンチョ@駒田一はさすがに達者。
アントニア@ラフルアー宮澤エマは、声が可愛いけれど柔らかくはなく「実は利己的」という性格がピッタリでした。
カラスコ@宮川浩も、ハキハキした滑舌で、悪人ではないけれど押し付けてくる感じがありました。
声に関しては、家政婦@荒井洸子が個性的で驚きました。役を選ぶけれど、特徴があるという意味ではかなり優位ですよね。
神父@石鍋多加史は純粋にいいひと感が滲み出てホッコリするのに対し、牢名主@上條恒彦は、劇中劇では宿屋の主人と言う善人を演じつつ、あくまで牢名主であるという二重の演技があって凄いと思いました。
床屋@祖父江進は、私が好きでないタイプの笑わせ役でしたが、確かに客席の空気を軽くしていましたし、出番が短いので、そこまで気になりませんでした。
ペドロ@大塚雅夫は、最低な男なのですが格好良かったです。
その他、キャスト数が多くて、かなり贅沢な作りでした。