帝国劇場のミュージカル「ダンス オブ ヴァンパイア(Tanz der Vampire)」17:30を観劇。
http://www.tohostage.com/vampire/
Wキャストの配役は、サラ@舞羽美海、アルフレート@平方元基、レベッカ@出雲綾、ヴァンパイアダンサー@新上裕也の組み合わせ。
ゴシックホラーといっても、笑いが多く、楽しいエンターテイメントでした。
劇場ロビーでは、天上から吊るされたコウモリが飛び回っていましたが、これも「ヴァンパイア」と「お祭り騒ぎ」が正しく表現された装飾だったと思います。
やはり見所は、タイトルでもあるヴァンパイアたちのダンス!
2幕のベッドでの悪夢のシーンで、ダンサーが次々現れる演出は、大道具との組み合わせに感心したし、墓場から目覚めての総踊りなど、見応えたっぷり。
装置関係では、棺桶に二人を入れたあと、その棺桶をクコールが持ち上げるところはよく出来てますね。奈落を活用しているんだろうな、と思いますが、後ろで「重くないの!?」と驚いている男性がいたので、思わず私がニヤリとしてしまいました。
ただ、すべての楽曲が長いため、少し飽きたところもあります。実力者が演じているから見ていられるけれど、全体にスリムアップしても良さそう。
特に2幕は、オチが投げやりに見えたせいもあって、曲で水増しされていた気がします。
なお、本日はスペシャルカーテンコールということで、簡単な振り付けをキャストと観客が一緒に踊るイベントも催されました。入場口で渡された光るブレスレット(使い捨て)が揺れる様は、まるでアイドルのライブでサイリウムが振られている光景のようでした。
以下、キャストごと感想。
はっきり言って、キャラクターで魅せるタイプの作劇なので、みんな曲者で、かつ可愛かったです。
麻生が決める可愛いさのトップは、アプロンシウス教授@石川禅(笑)。
物語としての主人公アルフレート@平方元基は、愛されるヘタレ。平方は巧いので押し出しの良い印象があったのですが、なんとももどかしい、けれど可愛い無能な助手でした。
サラ@舞羽美海は、純真無垢だけれど女の武器はちゃんと使う、非常に難しい役ですね。最初のデュエットで高音が少し掠れた以外は、ヒロイン役者として素晴らしい出来でした。ただ、村娘にしては動作が優雅すぎるかもしれません。
クロロック伯爵@山口祐一郎は、出番は意外と少ないのですが圧倒的な存在感がありました。人外の風情と、エコー効かせた歌声、大きさ、茶目っ気など合わせて、余人をもって代え難い役者だと思いました。
せむし男のクコール@駒田一。何度か見ている役者さんですが、こんな巧かったのかと驚きました。基本的に喋らない(言葉になっていない)役であることが良かったのかなと思います。
ヘルベルト@上口耕平は、役としてはコメディリリーフですね。大いに笑わせていただきました。
普通に見たら私の嫌いなタイプのキャラクターであるはずの宿屋の亭主シャガール@コング桑田も、どうにも憎めないスケベ親父で、非常に笑わされました。
愛人の女中@ソニンがまた非常にキュートで、歌声も伸びやかで素敵でした。
女房レベッカ@出雲綾は、相変わらず凄まじい安定感と可愛いお婆ちゃん具合でした。1幕しか出番がないのが勿体なかったくらい。