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宝塚宙組「白鷺の城」「異人たちのルネサンス -ダ・ヴィンチが描いた記憶-」15:30回。

明日が千秋楽という時点で初観劇。
先入観のないまっさらな状態で観ることが難しい時代のため、「レビューは面白いが芝居は駄作」という評を何箇所かで目にしてしまったのですが、実際に観劇したところ、私の感想は前評判と真逆の結果になりました。
好みの問題だと思いますが、やはり、人の意見は鵜呑みにせず自分の目で確かめないと何事もわからないものですね。

本朝妖綺譚 白鷺の城

転生を続ける陰陽師と妖狐の因縁を描く、芝居仕立ての日本物レビュー。
序盤の平安絵巻なシーンには日本物特有の美しさがあり、正体を見破られた玉藻前の狐の姿が明らかになるところなど、演出も鮮やかで良かったです。しかし、それ以降はあまり盛り上がりもなく、安い映像の演出も浮いていて、複数人で構成したレビューなのかと思うくらいでした。
特に、栗林義長が銃撃で討ち死にした直後、爆発と共に玉藻前が復活するシーンは、私にはギャグに見えてしまい、笑いを堪えるのに必死でした。
最後、また転生するなら生き返ったような演出も不要だったと思います。

また要所で、葛の葉および富姫@松本悠里に戸惑いました。
いつも踊りにだけ登場されていた松本理事が、芝居仕立てということもあって台詞有り。相変わらず見た目はお若いものの、声は年齢を隠せないため、ひどく聞き苦しい上、なぜか録音&エコーというコンボ。異次元の者だという表現にしても、あまりに頓狂で、台詞がある都度、冷や水を浴びせられました。
もしかしたら、動きも常になくギクシャクされていたので、変調があって急遽録音になったのかも知れませんが、だったら影ソロならぬ影台詞とか、他の対処方法はなかったのでしょうか。

全体的に娘役の出番が多く活躍していたことは、良かった点だと思います。

異人たちのルネサンス -ダ・ヴィンチが描いた記憶-

特に悪い評判を聞いていなかったレビューが私の嗜好と合わなかったため、同時上演で更に評判が悪い芝居とは一体どんなものなのか幕間に戦いていたのですが、前述の通り充分に楽しみました。

もちろん、突っ込みどころは多数あります。
真っ当な「いいやつ」は工房の仲間くらいで、後は主人公筆頭に野心家の変人ばかり登場するので、あまり好かれない作品だろうとは思います。でもそれぞれの人物像がぶれることはなく、各々の行動の結末として納得が行く展開になっていました。
もしかしたら、台詞関係に手直しが入っていたのかもしれません。
正直、中世という意外と難しい時代設定や、プロローグの聞き慣れぬ人名、地名の列挙の時点で、初っ端から話についていけなかったという観客が多かったような気もしますが。

今回、キャラクターとして魅力があったのは悪役チームの方です。
グイド@愛月ひかるはまた悪徳聖職者なのか、と見飽きた感がありましたが、何度も演じさせたくなる凄みがあるし、歌も毎公演良くなっていて深みが増したと思います。
フランチェスコ・パッツィ@凛城きらは、役幅が広くて安定しているなと感心しきりでした。
逆に、相手の状況を考えず、自分の価値観を押し付けているように感じる主人公や、心神喪失と思われる斬新なヒロイン像は、確かに、宝塚向きでないキャラクター像だと思います。
でもサライみたいな「主人公の善意で改心したはずの少年」が、金のためにレオナルドを裏切るのは意表を突いて良かったかも。

芝居後のフィナーレは非常に良かったです。
娘役群舞のフォーメーションも素敵だと思ったけれど、男役群舞の格好よさがそれを上回りました。
ダンスに関しては蒼羽りくに注目していますが、周囲と同じ振り付けで踊っていても、なぜか抜きん出て格好良く見えるのが不思議。特に、男役群舞での全員が真風を押し出す振り付けのところで、蒼羽りくの手のひらからはエネルギーの圧を感じたのが面白かったです。

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