PS4/Switch/XBOX ONEにて2019年2月28日発売予定のADV「フォーゴットン・アン」体験版を遊びました。
※英語版は2018年に発売済み。
https://chorusworldwide.com/forgotton-anne-jp/
ゲームシステムとしては、パズル要素ありの探索アドベンチャーに、移動時のジャンプアクションを取り入れた作り。
タイトルもメーカーも未知の作品でしたが、下記の作品説明に惹き込まれました。
すべての失われたものや、忘れられたものが行き着く場所を想像したことはありますか?
古いおもちゃ、手紙、靴下…。フォゴットンランドはそんな人々から忘れられたモノたちが行き着く場所。彼・彼女らはフォゴットリングと呼ばれ、人間の持ち主との関わり合いの中で自我や感情を育んでいった彼らは、いつか持ち主のもとへ帰ることを願っています。
実は、私のオリジナル小説(AKC)には、幾多の世界から弾き出された「忘れ物」が行き着く「ごみ捨て世界」がある、という設定があり、物語の後半にこの世界が関わってくる予定でした。この作品の設定も、それに近いものがあるな、と思って興味を抱き、体験してみました。
冒頭、持ち主が探すのを諦めた「片方だけ失くなった靴下」がこの世界に落ちてきて振り分けられるという、美しくも哀しく滑稽な導入が秀逸です。
しかし、反乱分子によって爆破テロが行われる、という結構緊迫した状況から始まり、主人公である執行官アンが意外と冷徹な性格だったりして、予想外の物語展開ではありました。
アンの性格に関しては、翻訳モノなので性差が現れないのが原因かと思ったのですが、この二択なんかは、女言葉に直してもキツイ物言いだと思います。
ちなみに「お前の話は不自然だ」を選んだら、言い訳する赤いマフラーを反乱者と見做してアニマを奪うことになり、ちょっとドギマギしました。そのあと、案内係の電灯に確認したら確かに反乱分子の一味で間違いなかったのですが、もし違ったら後味が悪かったことでしょう。洋物特有のシビアさがあります。
本作で特筆すべき点は、この美しいアートワークです。
若干古いキャラクターデザインも相俟って、80年代辺りのアニメーション映画を思わせます。
その、アニメ映画を動かしているという感覚を強調する要素が、アニメーションのカットシーンとゲームプレイが全て連続していることです。
昨年発売された「GOD OF WAR」が、OPからEDまで一切ローディングを挟まない全編ワンカットで、多くのゲーマーを驚愕させましたが、本作も「GOD OF WAR」同様に、どこからアニメでどこから操作画面なのか分からないくらい、まったく違和感なくシームレスな作りになっています。
パズルはほぼノーヒントでしたが、取り敢えず最序盤は簡単でしたし、時間制限などもなくシンプルなつくりでした。
アニマを供給する、もしくは奪うというアクションは本作独特のものですが、例としては「エネルギータンクを運んで動力を復旧させる」というアドベンチャー行為を、アニマを使うというアクションに置き換えている形なので、独自世界観の割に取っ付きやすいです。
インディーとは思えないクオリティに、世界観をきちんと生かした素敵な作品ですが、やっぱりインディーらしい洗練されていない要素も感じました。
まず、アクションが単純につまらないこと。アニメーションの都合上、アンの動きはややぎこちない事がありますし、ジャンプした後ぶら下がってよじ登るシーンが多いので、少なくとも体験できる範囲に爽快感はありませんでした。言ってしまえば、移動の障害としてゲーム要素を足すためにアクションを取り入れた感じ。
せっかく翼(ウィング)を得てもジャンプ距離が伸びるだけで、通常ジャンプと翼を使ったジャンプのアクションを使い分けねばならないことに手間を感じました。
それから、イベントの振り返りができる「日記」や収集要素の「思い出の品」の文字が小さくて薄いこと。
アンの人物像や世界観を深める要素なのに、肝心のテキストが読みにくいので勿体無く感じます。
とはいえ、これらの欠点も全体の出来の良さに対して気になる、という程度のことで、許容できる範囲です。
前述通り、世界観、美しいアートと音楽、選択によって変わっていく物語など、マイナスよりプラスの評価点は多いです。実際、アクションとADVが苦手でなければ、購入したいタイトルとして記録しておきたいところでした。いい雰囲気のゲームなのでこの世界観やゲームシステムが好きな人に売れて欲しいな、と思わされましたが、体験版でそう感じるのも面白いですね。
なお、雰囲気からしてダウンロード専売だと思っていたので、一応パッケージ販売も予定されていることに驚きました(体験版・パッケージ版はPS4版のみ。サントラDLC付き)。
こういう力の入れ具合、応援したくなります。