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宝塚雪組、東急シアターオーブ公演「20世紀号に乗って」11:00回

歌うまコンビによる、古典ブロードウェイ・ミュージカルのリバイバル版特別公演。
今回もチケット争奪戦が激しかったですが、幸運が舞い込んで、観ることができました。天井桟敷でも、舞台は生で観てこそ面白い!

内容やトップコンビ以外の出演者は全く知らずに当日を迎えましたが、雪組では久々のドタバタコメディで、終始楽しかったです。
演者も全力だけど、観客もよく笑い、温度の高い会場でした。

もっとも、私の好みを言わせて貰えれば、1曲ずつを少し短縮して一幕で収めたいところ。
また、お話としてはオチが弱いのを、ハッピーエンドだから許されていると感じました。
このオチの弱さは、なぜ二人が別れたのか、舞台上では明確な理由が分からないままだった点に原因があると思います(映画版ではオリバーの「束縛と嫉妬が原因」となっているが、今回の舞台版ではそんなに感じない)。
シチュエーションコメディだから、重要なのは現状であって、前提は要らないんでしょうし、これだけ主張の激しい二人だから、喧嘩は絶えなかっただろうと容易に想像できます。でも、頻繁にあっただろう喧嘩のなにが決定打になったのでしょう。何度も「クビ」を宣告されるオリバーが、それでもオスカーから離れないように、普通の喧嘩なら流して当然なのに。
例えば「女優としての自分しか求められていないと感じていた」みたいな扱いにしておけば、もっと分かりやすい恋愛物として成立して、宝塚らしくなったんじゃないかと思います。ヒロインが現在のボーイフレンドに、過去の男遍歴で嘘をつく必要もないですしね。

とは言え、オリジナル作品ではないので詮無いこと。この辺は、完全に自分の好みに関する余談です。

以下、キャスト雑感です。

オスカー@望海風斗は、キャラクターの熱量の高さと役者の熱量の高さが合致して、生き生きと様々な顔を見せていました。端々の傲慢さと、椅子の上で小さくなってしまう可愛さとか、愛嬌がある中年男。
作品的に、じっくり「聴かせる」タイプの曲がなかったのはやや残念でした。
リリー@真彩希帆はパワーのある女優役で、役にピッタリと合う実力を見せつけてくれました。初対面(回想シーン)で、歌声でオスカーを惹きつけたことに説得力がありました。

ブルース@彩風咲奈は、顔が取り柄のお馬鹿キャラで、なんとも憎めない男。オスカーたち3人との攻防には笑わせてもらいました。
オスカーの部下、オーエン@朝美絢オリバー@真那春人も、可愛いコンビでした。深く考えることなくボスに付いて行くオーエンと、彼よりは色々考えて、クビを言い渡される度に本当に辞めてやろうかと思いつつ、それでもやっぱりボスに付いて行くオリバー、という風に個性が別れていたのも良かったです。

プリムローズ夫人@京三紗は、可愛らしさと、ひっそりとしつつも不思議な存在感があって素敵でした。流石の演技力です。
ただ、十字のステッカーの件は最初のシーンではなんの話をしているのか分かり難かったな、と思います。3階席からだと、赤い丸にしか見えず、てんとう虫かと思いましたし、ステッカーが貼られているということも伝わりにくかったです。これは演出の問題ですが。
イメルダ@沙月愛奈は、美しき女優感があって好き! 出番は一箇所ですが、とても印象に残りました。リリーとは衝突したけれど、別段「嫌な女」というわけでもなく、イメルダはこの後もちゃんと別のお仕事を成功させていったんだろう、と思えるのが良かったです。

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