冬アニメの総括感想です。
ーーといっても、今期は、2018年秋から放送開始した「風が強く吹いている」(全23話)しか見ていませんでしたので、その総評となります。
面白かったです。
日頃「アニメを見る時間があったらゲームしたい」派の私が、後期は毎週2回以上視聴したくらい、毎週の楽しみでした。
原作をそのまま再現したアニメでなく、全編的にオリジナルアレンジを施して再構築した形でしたが、最初から原作がこういう展開だったかのように自然だったと思います。
特に青竹荘の10人は、もう原作を再読しても、このアニメキャラクターたちの姿と声で再生されると確信しています。
原作だと、10人の中でコンビネーションがある程度固定化されている印象だったのですが、アニメの10人を見ていたら、どういう組み合わせでも会話が想像できるようになりました。
終盤の4話は、ただ走りながら独白しているだけで、普通なら退屈になってしまいそうなのに、素晴らしい密度でした。箱根駅伝が単なる個々人のハーフマラソンの連続ではなく、襷という想いをつなぐ競技である醍醐味が表されていたと思います。
勿論、瑕疵が一切ない完璧な作品だとは思いません。具体的には、望月記者を長く引っ張っておきながら、実際に報道されたときは土下座一発で話を流したり、5区における神童の風邪を大袈裟に描きすぎていたり、ちょっと演出のために話がブレたと思う箇所はありました。作画の乱れはなかったけれど、背景のモブがコピペだったところもありました。
でも、そんな名もなく台詞もないようなキャラクターに至るまで、皆が生き生きしていました。青竹荘の仲間だけでなく、名もない走者それぞれの「走る」という人生を見せて貰えました。
嫌な奴という立場を最後まで崩さなかった榊ですら、仲間の走りに一喜一憂する姿から、彼は彼なりに一生懸命生きているんだ、と感じて、応援したくなりました。シードを逃した悔しさをバネに、また来年頑張って、自分なりの頂点を目指して欲しいものです。
曲も良かったです。そんなに主張のない劇伴でも、的確に使われると、緊張感を高めたりホッとしたり、視聴者を上手く導けるというお手本のように感じました。
EDは前期・後期とも、毎話染みる歌でした。
後期OPは最初しっくりこなかったのですが、結局一度も飛ばすことはなかったし、気付いたら結構良く脳内でエンドレスリピートされているので、実はハマっていたのかもしれません。
半年間、キャラクターたちと共に走って最高の頂点を見せて貰い、本当に満足です。
満足ですが、これで終わってしまうのか!という寂しさもあります。「寂しさを抱きしめろ」(22話タイトル)と自分に言い聞かせるしかないですが、Blu-rayを買おうか、結構真剣に悩んでいます。いや、どうせ買うならもっと早く買って、イベントとか言う奴に人生初参加してみたかったかもしれません……。そのくらい、私の心に残る作品でした。