3DS「RPGツクールフェス プレイヤー」で遊べる、RPGツクールフェス製ゲーム「テスト PLAY 〜この設定は非公式です〜」をプレイ
※RPGツクールフェス プレイヤーについては、公式サイト参照。
第二回コンテスト特別賞作品。
作品情報は下記の通りです。
テスト PLAY
A-TOP氏(ID:233861)
制作時間154時間17分
ツクフェス発売の裏には、サンプルキャラ達の知られざる冒険が!? …これは、そんな物語。
2時間弱で終了。
ツクールのサンプルキャラクターたちの物語という内容ながら、主人公が勇者キャラクターのバックアップとして誕生した「テスト」というところが、一捻りとして効いています。
基本的に読み進めるだけで、ゲーム性はありません。
キャラクターを動かすシーンで、分かれ道があるように見えても、実際は寄り道不可能。ダンジョンに突入して、ようやくRPGらしくなるのかと思いきや、「バグ」という設定でエンカウントは皆無になっています。終盤に一度だけ戦闘があるのが、唯一のRPGゲーム部分と言えるでしょう。
他にも「読む」ことに特化した作品はありましたが、本作は会話選択肢すらなく、ただストーリーを描くことに腐心しています。
しかしそのストーリーの良さで、1本の映画を鑑賞したような満足感がありました。
最初の30分くらいまでは状況説明なので、いつになったら本題に入るんだろうと思ったんですが、最後はボロ泣きしながら読み進めることになりました。王道展開だけれど、作者のツクール愛が存分に感じられます。プレイ後は「ツクールフェス製品版を買わねば」という気持ちにさせられました。
最後にやや都合のいい装置が出てくるのは、まあハッピーエンドで終わらせるために仕方ないですよね。
メタな台詞に見えますが、彼らは自分をゲーム中のキャラクターだと認識しているから自然な台詞になっていたのが面白いです。また「ラスボスに経験値を設定する奴」という指摘は、笑うと同時にまさかの伏線で、なかなか痺れました。
前述通り戦闘は一度しかありませんが、「最初で最後の決戦」だけあって、バランスが適切でなかなか遊ばせます。
レベルや装備を変更することができないし、そもそも操作キャラクターのステータスも見ていないので、使える技や威力などを確かめつつ戦っていく感じになるのが独特。MPはかなり高めで色々遊んで見ても十分余裕がある設計なのですが、中盤にボスが全体攻撃を連発してくるあたりで、采配をミスれば負けそうと思わせるバランスが良かったです。
ツクールをネタにしたゲームは沢山ありますし、過去の公式サンプルでも、メタな作品はあったと記憶しているのですが、ここまで過去作も含めてしっかり筋の通った愛ある作品は、なかなかないと思います。
ネタバレをしてしまうと「ツクールDS以降、ツクールフェスができるまで」を描いた作品なのですが、単にDSをクソゲーと貶すことはせず、DS+の素材偏りに理由を付け、そしてフェスへの夢を盛り込んだ展開になっています。
こういう作品がユーザーから出てくることを、KADOKAWAは誇りに思うと同時に、この作品に恥じないゲームを作るようにして欲しいと思いました。