今期も結局1作品だけ視聴しました。
浅草を舞台に、中学生男子3人組が河童になってカパゾンビを倒すアニメ「さらざんまい」(全11話)です。
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……やっぱり、あらすじ説明が奇怪すぎます。
正直1皿目(1話)の時点では、面白いとか面白くないという考えに行き着けず、とにかく予想外のイロモノが出てきた、と困惑していました。
2皿目で本作のノリは飲み込めた気がしたものの、3皿目で構成に早くもマンネリ感を感じました。
それが、「せめて3人の秘密を確認しよう」と最後のつもりで見た4皿目での劇的な漏洩内容と演出に惹きつけられてから、毎週の楽しみに変貌。続く5・6皿目の最終回のような盛り上がりもワクワクしましたね。7皿目以降は、毎回の引きが良くて「早く次週を!」と言う飢えた気持ちでいっぱいでした。
そうして全話終わった今となっては、2〜3皿目の頃のような日常回をもっと見たかったと思っています。……あれを「日常回」と言って「さらっ」と流せるようになった辺り、さらざんまいの狂気に撃ち抜かれた自覚はあります。
この汚い絵面に辟易していたのに、慣れちゃいましたからね。
もっとも、全11話は短くて物足りないと思ったけれど、そのお陰で、あまり抽象的な演出に走ることがなく、テンポも良く、飽きさせない構成を維持できた可能性があるので、結果としてはいい話数だったのかもしれません。
下品でサイケで、よく地上波放送したな!と思っていたのに、最後はOP通り、爽やかな大団円だったのが嬉しかったです。
幾原監督が、作中で自己犠牲を否定し、辛くても泥臭くても自分たちの未来へ進もうと言う結論を持ってきたことも、ある種の衝撃でした。私は幾原監督作品を「少女革命ウテナ(TVアニメ版)」しか見ていないのですが、ウテナ最終回はあまりの衝撃に5回くらいリピート再生しましたからね……。多感な時期に、大きな影響を及ぼしました。
最初の劇中歌「さらざんまいの歌」には困惑しかありませんでしたが、気付けば歩行中に脳内で歌っているくらい馴染みました。「カワウソイヤァ」は言うまでもありません。
バンク演出と見せかけて、実はかなり差分があるのも毎回の楽しみでしたね。4皿目で、カパゾンビとの戦いの合間に、しれっと蕎麦を食べてる3匹には笑いました。6皿目以降のバンクなし回は、ちょっと寂しかったくらいです。
そんな風に最初はギャグ演出だと思っていた「さらざんまいの歌」が最終回で歌われた時は、不思議と感動しました。最初からそれも狙ってのバンク演出なんだろうと思うと、感心するしかありません。
10皿目のレオマブバージョンも、「お前がそれを歌うのか!」と言う意外性で面白かったですね。最早バンクでもなんでもない自由さに、笑うのと同時に悲しさも襲ってきて、感情が追い付かないくらいでした。
毎週の放送を追っていた中では、折り返し地点なのに最終回のようだった6皿目の満足度が高かったし、断トツで盛り上がったのはTwitter連動で衝撃を与えた10皿目だったと思います。
しかし純粋に「このアニメ面白いぞ!」と思ったのは、久慈兄弟メインの4皿目と9皿目でした。演出的に分かりやすく惹き付けられました。どちらも絵コンテ・演出が武内宣之氏だったので、私の好みなんだろうと思います。
冬・春と連続で毎週楽しく見られるアニメがあり、今年は自分にとっては当たり年かも、と言う気がしてきました。
「さらざんまい」は、前期の「風が強く吹いている」に比べると、色々と布教しにくい作品でしたけれどね! どちらも要素だけ抜き出すと「登場人物の9割がスポーツをしている男性の群像劇」と言う点は一緒なんですが(笑)。