改めて、PS4「十三機兵防衛圏 プロローグ」を遊びました。
http://13sar.jp
プロローグでは、13人の主人公の導入の物語を体験できます。
プレイ時間は公式に3時間程度。台詞の音声を飛ばさずに進めて全員の話を確認して、実際にそのくらいで終わりました。
ゲームを開始すると、自動的に鞍部十郎編が開始。
鞍部編が終わると、冬坂五百里編、網口愁編、三浦慶太郎編が解禁され、その3人をクリアすると……という形で、段階的に進んでいく形になっていました。
主人公ごとに異なる特色があり、冬坂は少女漫画風、南はETパロ、緒方はループもの、など多彩なカラーが楽しめますが、どの主人公の話も謎が謎を呼ぶ展開で、どう繋がっていくのかまったく読めません。
タイムリープ要素があるせいで時系列の謎も多くて、本当に全員同じ時空の話なのか、パラレルなのか?といった疑問もいっぱい。
謎を解いてカタルシスを得たい!という気持ちにさせられました。
しかしーー正直な気持ち、ゲームで13人の主人公は多過ぎるように感じました。
誤解のないように補足しておくと、全員のキャラが立っているので、13人と周辺人物のある程度の相関図はもう頭に入ったし、不要な子は誰一人いません。
まさかの「カエル」枠だった猫も可愛い(笑)。
しかしゲームとして考えると、一度にこれだけこんがらがったシナリオを進めるのはプレイヤーの頭が混乱しそうです。かといって、オーディンスフィアみたいに一人ずつ進めるパターンだと、自分の気に入ったキャラクターに行き着く前に飽きてしまいそう。
私は「好き」の幅が案外狭いので、面白そうだと思ったシナリオと、興味を惹かれなかったものの乖離も激しかったです。
私が純粋に続きを遊びたいと思えたのは、鞍部編、三浦編、緒方編、比治山編。
南編も、若干勘違いしたまま進むところやロボ(BJ)の可愛さは良かったです。
鞍部編では、非日常に乗り込んでいく主人公の日常の象徴、みたいな普通人代表ポジションだと思っていた柴くんの豹変にびっくりした要素が大きくて、それが最後までプレイする意欲になりました。でも他のサブキャラクターは他の主人公時に登場するのに、柴くんは鞍部編にしか登場しなかったので、正体考察もできず……。まさか、鞍部十郎にしか見えない存在ではないですよね? 冬坂にも認識されてましたよね?
三浦編はシナリオの重厚さ、逆に緒方編は軽妙さが好みだったのですが、比治山編は完全に、比治山隆俊というキャラクターの良さに転がりました。
1944年から1985年にタイムリープして、焼きそばパンをこよなく愛し、惚れた相手は女装男子。元バンカラと言われていたけれど、兵役で落ち着いたのか、作中では紳士。とにかく純情で可愛いです。
最後に解禁された関ヶ原瑛編は、他のキャラクターのプロローグで重要ポジションだったので、ある程度話が読めるようになるかと思いきや、まさかの記憶喪失枠でひっくり返りました。
2Dグラフィックは、さすがのヴァニラウェア製。
スクリーンショットだとそこまで感じませんでしたが、自分で動かしていると、凄い美術だと思います。
光の表現が特に印象的で、光は明るく、影は濃く、世界を縁取っています。
キャラクターの動きは、これを全部描く労力に眩暈がするくらい滑らか。また、歩き方やちょっとした仕草にもキャラクターの性格が出ている作り込みに感心します。
薬師寺編で、恵と兎美が差していた傘がふわっと浮き上がり、次の瞬間強く吹き飛ばされるという一瞬の描き込みの細かさに感動しました。
ADVとしての作りは、ちょっと疑問です。
画面内をある程度歩き回れるのは臨場感も増して良いけれど、同じキャラクターに何度も話しかけたり、順番通り話し掛けて進行する必要があるときは面倒なだけに感じました。
キーワードを貯めて、考えたり相手にぶつける「クラウドシンク」が本作の独自要素ですが、少なくともプロローグの範囲では、出せるキーワードは固定化されているので、もう少し自由度が高く、色々な話題に繋がるなら面白いかもしれませんね。
どこか「ガンパレード・マーチ」を彷彿とさせられる要素が多かった気がします。
好きな人にはかなり響くタイプの世界観でしょう。