現在地:20話「海賊の入り江」
ルーサーが変異体から聞いたという、国境越えを助けてくれる人間の家を目指すカーラたちだったが、車が故障したため、近くにあった廃棄遊園地の建物で一夜を明かすことにする。寝入りかけたその時、遊園地に残されていたアンドロイドたちが現れ、子供のお客様を回転木馬に招待する。木馬に乗せられたアリスは、カーラの前で初めて笑顔を見せる。
ズラトコの屋敷から奪った車に乗って雪道を移動。
この車、自動運転なのはデトロイトの科学技術的に当然として、走行を止めると「運転席と助手席が180度回転できる」のが、未来感のある面白い発想だな!と思いました。現代の発想だと、運転席は前を向いていなければならないわけですが、完全自動運転が実現すれば、その必要もないですし、移動中に家族団欒できるわけですね。
しかしメンテ不良か、火を吹いて立ち往生してしまったため、車は放棄。
寒い中アリスを歩かせるのは酷だと思っていたので、ここで、ルーサーがアリスを肩車で運んでくれるのが頼もしいです。
懐中電灯を片手に探索するパートへ突入。
今回は野外ということで解放感はあるものの、地図があっても、何を目標に歩けばいいのかわからない暗さと天候だし、調べると突如決まった台詞を喋りながら動き出すアンドロイドが残っているなど、ビクビクしながら進むことに。
この遊園地は海賊がテーマのようですが、どう考えてもミスマーケティングだと思います(苦笑)。いまや、ラスベガスのT.I.ですら宝島テーマを放棄しているんですから。
マシな建物内に避難できたら、今度はアリスを寝かし付ける準備をします。
「ルーサーのカバンを調べる」というコマンドもあったけれど、私は他人に鞄を預けたくない人間なので実行しませんでした。そのあとの展開を見るに、恐らくカバンの中に銃を見つけて、それで応戦できるという選択肢差分が生じるだけかな?
アリスに物語をせがまれて、自信満々に「私のメモリーには9000個も童話がインプットされている」と答えるカーラが、久し振りにアンドロイドらしくて可愛く感じました。
童話ではなく、お話を作って欲しいという要望に応えて、アリスとカーラの旅路に基づく少女の物語を展開することに。家に住み着く影が少女の幸せを邪魔をしていた、という流れにしてしまったけれど、まだアリスは家族に憧れを持っているのに、トッドを影扱いしたのはちょっと悪かったかな。
物語の結末は悩みました。
大人の回答は「自分で決める」や「旅の意味」かな、と思ったのですが、目的は寝物語だし、子供にはハッピーエンドを与えてあげたいと思ったので、ハッピーエンドを選択。まあ、アリスは現実はハッピーエンドとは限らない、とわかっている子供ですけれど、それで良いのです。
ルーサーについて聞く会話をした後、遊園地のアンドロイド・ジェリーたちがやって来ます。
脅す気がないなら、襲うような演出はいらなかったと思うんですが、これはやっぱり海賊ノリなの?(笑)
ジェリーたちを警戒するカーラに対し、あんなに怯えたくせに彼等に付いて行きたがるアリスは意外と図太いし、こういう時はルーサーがそれに付き合ってあげるのが、疑似家族として完璧な関係の3人だと思いました。
メリーゴーランドの電源を点けた途端、暗く寂しい遊園地が暖かい息吹を取り戻し、そして「乗ったら動かしてあげる」というジェリーが、アリスに向かってではなく、存在しない「待機列」に向かって呼び掛けていることに気付いて、心が震えました。
木馬に乗るときに、足を折り畳むのが可愛いです。
よく見たら木馬ではなくタツノオトシゴだったけれど、水族館には、こういう海洋生物のメリーゴーランドが実在するみたいですね。
ホッとするひと時を得て、これまでの苦労が少し報われた気持ちになりました。
「海賊の入り江」とは変なタイトルだな、と思ったけれど舞台名ですね。その気付きから、チャプタータイトルは人名か地名のパターンが多いんだな、と今更気付きました。