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吉田篤生著「慶應義塾大学 大学院 SDM伝説の講義 ー企業経営と生命のシステムに学ぶデザインとマネジメントー」

税理士の吉田先生が、慶應義塾大学大学院の特別招聘教授として2011年から7年間行われた、SDM(システムデザインマネジメント研究科)の講義を紙上で再現した本。

ネタの用意を忘れていたので、久し振りに真面目な本の感想を書きますが、面白かったです。
著者の「企業は大きな自然界の流れの中に存在している」「企業には人間と同様に“人格”が求められる」などの考えかたには大いに賛同します。システムデザインマネジメントの分野に限らずとも、人生哲学として大変勉強になりました。
逆に言えばSDMとしては基礎的な内容であり、大学院でこの内容だと物足りないのでは?とも思いました。しかし何事も基礎に立ち返って本質を見直すことは重要ですし、老舗企業の経営者から生で話が聞ける機会と考えると、やはり貴重な講義だなと思います。
この本には、株式会社豊島屋本店(https://www.toshimaya.co.jp)の吉田俊之社長、西島株式会社(http://www.nishijima.co.jp)の西島豊社長、元日本銀行金融高度化センター長で、金融検査マニュアルの作成と廃止に関わった、特定非営利法人日本動産鑑定会の森俊彦会長などのゲストスピーカーの話が載っています。万人がここで語られている内容に共感し、良いと評価するとは思いませんが、それぞれに理念だとか企業文化が見えて興味深いお話です。

実名が出ていない話ですが、巨額の個人債務がある事業承継に関する事例が一番面白かったです。税理士ならではの生きた話ですし、士業に対して格好良いと思えました。
そのほかでは、欧米のファミリー企業と日本の老舗企業の差異など、なるほどと感じる分析でした。同時に、日本の社会風土は特殊だなとも思いました。

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