改めて、PS4版「Hand of Fate2」(ハンドオブフェイト2)総評です。
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TRPGっぽい雰囲気のゲーム、という時点で私の好みのツボを突いているとは思っていたのですが、プラチナトロフィーを取るまでハマるとは予想外でした。
遊び始めて10分で、駄目なところが目に見えるゲームです。
ライトゲーマーにはウケない洋ゲー感丸出しの無骨な3Dグラフィック、鈍重なアクション、ほぼ読むゲームなのに視認性の悪い文字、微妙な翻訳ーー
画面左上のゲームテキストを読みつつ、画面下に表示されるゲームマスターの台詞字幕も見逃さないよう注意を払うプレイスタイルは、慣れるまで辛いものがあります。私は、ゲームクリアする時点まで進んでも、台詞字幕は頻繁に見落としました。消えるのが早すぎます。
ガンビットの1つであるダイスロールの存在も、運に左右されるという点で嫌われる要素かと思います。付け加えれば、目押しができない私にはカードや運命の輪も似たようなものでした。
なにより、アクションの操作説明程度しかゲームに関する説明がないので、楽しませてもらおうという受け身の姿勢だと恐らくキャンペーンの前半で脱落するでしょう。
とても、万人に勧めるゲームではありません。
しかし、幸運にもーーあるいは不幸にも、このゲームに適合したプレイヤーにとっては、大変楽しく、よくこんな作品を作った!と開発者に喝采したくなるゲームでした。
正直、最初に悪いところが全て見えている分、後から評価が下がることはなく、システムを理解するうちに最初は悪いと思った点も個性だと受け入れられるようになりました。
鈍重に見えたアクションは、武器種ごとの立ち回りを理解できると、地味な絵面の割に爽快に動けるようになり、このテンポ感で良いのだと思えてきます。攻撃か、防御か、避けるか、反撃か、シンプルながら駆け引きも楽しめます。タイミングよくカウンターが決まると気持ち良いです。
一撃でも掠ったら死ぬ危機的な状況から勝利した時は、思わずガッツポーズを取ったくらい達成感があります。
中盤以降は大軍を相手にすることが多く、近くの戦士をいなしつつ、銃士の遠距離攻撃に気を付けるなんて必要も出てきます。しかし複数敵に囲まれても、同時にプレイヤーに攻撃してくる人数は2人程度に抑えているようです。大軍が本気で波状攻撃をしてきたらプレイヤーに勝ち目はないので、そうはならないよう調整しつつも、大軍との戦いを楽しめる、ほどよい調整になっています。
なお、武器には耐久度があり、ずっと使っていると攻撃力が落ちます。デメリットを無視することもできますが、多くの場合は武器を持ち変えることになります。すると立ち回りも強制的に変更させられるので、結果的に新鮮なプレイ感を維持できました。
また、碌に説明がないと前述しましたが、キャンペーンを順番通りクリアしていけば、段階を経てゲームに慣れるよう配慮されています。
デッキの構築が追加され、キャンプが解禁され、ステータスに名声値が追加され、祝福と呪いが登場し、どんどん考えることが増えて忙しくなります。が、特に意識せずとも、それらの要素に配慮したデッキを組めるようになっていきます。
そして、このデッキ構築がゲームの肝だと私は思います。
シナリオ固有のデッキに、プレイヤーが手持ちからカードを追加することで、プレイヤーごとのゲームが生成されます。
デッキで設定できるのは、一緒に旅する仲間、エンカウンター(道中で発生するイベント)、道中で登場する装備、初期所持品。
シナリオクリアの手助けになるカードを増やすのが攻略の基本ですが、試練をもたらす硫黄カードを入れて難易度を上げるのも自由です。
デッキに組み込んだカードがどの順番で場に登場するかは運次第。有利カードを増やしたからヌルゲーになる、と言うことはありません。特に装備品は、ショップに並ぶ装備として登場する、エンカウンターの報酬として登場する、などいろいろな登場パターンがあるので、タイミングによっては場に出たのに入手できない!と言うこともあって、毎回理想通りの冒険ができるわけではありません。
エンカウンターは有利不利がはっきりしているし、プレイヤーによるガンビットの得意不得意もあるので、次第に同じエンカウンターを何度も組み込むようになりがちではあります。選択肢やガンビットの成否で揺れるのはもちろん、何度か場に出した結果や、他のエンカウンターとの組み合わせで内容が変化することもあり、割と飽きさせません。また、特定の行動で得られる「トークン」が設定されているカードは、トークンを得るため様々な行動を試すことになるので、同じエンカウンターを組み込んだからといって、常に同じ繰り返しにはなりません。
飽きさせないといえば、エンカウンターの中にはアクションステージもあり、テーブル上のやりとりに止まらない、いろいろな楽しみを盛り込んでいます。
こういったゲームの根幹がよくできているだけに、文字の読みにくさと翻訳だけはどうにも惜しいです。全く意味不明な文章というわけではないのですが、どうにもローカライズが手抜きに感じます。ストーリーが曖昧なのは、続編モノだからという理由もあるでしょうけれど、翻訳次第で緩和できる部分とも思うのです。
英語ができるなら、原語で遊んだ方が雰囲気を損なわずに堪能できるかもしれません。ただ、世界観特有の単語もバリバリ出てくるので、英語が得意でもファンタジーが不得意だと辛そうです。
残る難点のグラフィックはーー見慣れるから問題ないでしょう(笑)。
実際のところ、グラフィックは全体的にモデリングが厳つく、いかにもな「洋ゲー」感があるだけで、決して悪い出来ではないと思います。主人公をキャラクターメイキングできるぞ、と思ったら髪型が全部モヒカン!といった衝撃も、本作を楽しんだ後では、愉快なエッセンスだったと語れます。
そんなわけで、わざわざセールに合わせて総評を書く気になるくらい、私の肌に合うゲームでしたけれど、自分以外のどんなプレイヤーにお勧めかと考えると、ちょっと難しいですね。
ディーラーと向き合ってゲームをしている最中のスクリーンショットを見て、その雰囲気にビビッと来るプレイヤーが良いでしょうね。カードバトルではないけれど、デッキ構築がウェイトを占めるゲームなので、そういった編成を楽しめるシミュレーションゲーマーだとより良いかもしれません。